ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

The Layers / Julian Lage (2023)

傑作アルバム『View With A Room』の続編となるEP

ザ・レイヤーズ / ジュリアン・ラージ

コンテンポラリー・ジャズ・ギターを代表するプレイヤーの一人、ジュリアン・ラージ。

ブルーノートからの2枚目となった前作アルバム『View With A Room』(2022)は多くの称賛を集め、彼のキャリアにおいて重要な一作になった。

本作はその『View With A Room』と同じセッションでレコーディングされた、連作というか続編というか、関連の深いアルバムである。

ジャケットデザインからして兄弟姉妹みたいだし。

収録は全6曲で全てオリジナル。

ベースのホルヘ・ローダー、ドラムのデイヴ・キングは当然前作と同じで、これまた前作と同じく、ビル・フリゼールが5曲でゲスト参加している。

ジュリアン・ラージもビル・フリゼールも、演奏技術で勝負するというよりは、音空間の設計力、オーケストレーションに長けた人なので、本作でもその持ち味が十分に発揮されている。

ひとつひとつの音のレイヤー輪郭の鮮やかさ、その重ね方、ずらし方(間合いの取り方)が絶妙なのだ。

当然、前作と世界観、音の表情は似ているし、全体で24分と短めではあるものの、完成度は高く前作のアウトテイクのような印象はない。

あえて比較するなら本作の方がアコギが多いからかもしれないが、やや内省的でおとなしめにまとまっているように聞こえる。

ジュリアン・ラージのコメントによれば「前作の試金石となる音楽の種をすべて含んでいる」のだそうで、なるほど続編というよりは、前編、プロローグと捉えるべきなのかもしれない。


 

 

Julian Lage(g)
Jorge Roeder(b)
Dave King(ds)
Bill Frisell(g)

1.Everything Helps
2.Double Southpaw
3.Missing Voices
4.This World
5.Mantra
6.The Layers