空想上の街をテーマにした豊かな情景描写が魅力
グラッドウェル / ジュリアン・ラージ・グループ
初のリーダー作『Sounding Point』(2009)が高く評価され、グラミー賞のザ・ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバムにノミネートされたジュリアン・ラージの2作目がこちら。
前作とほぼ同じメンバーだが、サックスはアルトからテナーになり、前作活躍していたマンドリンやバンジョーは、今回加わっていない。
相変わらずジャズ風味は薄く、ワールドミュージック的というか、アメリカーナ、スパニッシュ、クラシックなど、曲ごとにテイストはさまざま。
本作のタイトルの“Gladwell ”は空想上の街の名前で、例えば「233 Butler」はヴィンテージの楽器屋、「Listening Walk」は駅、「Cocoon」は教会、「Iowa Taken」はバザーと、そこで生まれる様々な物語をイメージして作られたものらしい。
サウンドから教会やバザーを連想することはさすがに難しいが、情景の喚起力に非常にすぐれていることは確か。
作編曲も演奏も相当練り込まれていてスキがないものの、人工感はなく、むしろオーガニックだ。
それにしてもラージの引き出しの多さ、アイデアの豊かさには、前作以上に驚く。
マンドリンなどがいなくなったぶん、ラージの主役感はさらに強く、どのフレーズも創意にあふれている。
エレキとアコギの両方を彈いているが、このアコギの音が実に滋味豊かで素晴らしい。
1926年製のヴィンテージのマーチンだそうだ。
Julian Lage (G)
Dan Blake (Ts, Melodica)
Aristides Rivas (Cello)
Jorge Roeder (B)
Tupac Mantilla (Ds)
1 233 Butler
2 Margaret
3 Point The Way
4 However
5 Freight Train
6 Cathedral
7 Listening Walk
8 Cocoon
9 Autumn Leaves
10 Iowa Taken
11 Listen Darkly
12 Telegram