ビル・フリゼール、ジュリアン・ラージらのアコギによる幻想的な組曲
ナッシング・イズ・アズ・リアル・アズ・ナッシング / ジョン・ゾーン
ジョン・ゾーン名義のアルバムで、彼が作曲し、サミュエル・ベケットに捧げた作品とのこと。
演奏しているのがビル・フリゼール、ジュリアン・ラージ、ギャン・ライリー(テリー・ライリーの息子)という3人のギタリストなのだから、ここで紹介しないわけにはいかない。
冒頭の「Stirrings, Still」がとてつもなく美しい曲で、メロディラインの耳馴染みもよく、アコギのナチュラルな響きが素晴らしい。
3人の絡み方も絶妙だ。
しかし鬼才ジョン・ゾーンであるからして、そんな曲調が続くわけもなく、幻惑的というか瞑想的というか、段々と異世界的な音空間に誘われる。
ときに不協和音も交わり、トリッキーで不穏な展開も多いので好き嫌いは分かれるだろうけれど、全編を通じてギターの響きは圧倒的に美しい。
名手3人ゆえ当然といえば当然。
ただ、誰がどこを弾いているのか、さっぱりわからない。
エレキだとエフェクター使いとかでわかったりもするのだが、アコギの場合、音色が近いので聞き分けるのは至難の技だ。
ギタリストの大友良英さんが、自身がMCを務めるNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」で、このアルバムを採り上げていた。
いかにも大友さんが紹介しそうなアルバムだけれど、面白かったのはそのときのコメント。
「右・中・中央に分かれてて、3人のどれが誰だか聞き分けて紹介しようと思ったけれど、ごめんなさい、私いちおうギタリストではあるんですけど、わかんなかったなあ、右がフリゼールかなあ...間違ってたらごめんなさいね」
あ、大友さんでもわかんないんだ、と苦笑しつつ、素人の私がわからなくて当然だなあと安心した。
1 Stirrings, Still 6:08
2 The Calmative 7:13
3 The Unnameable 10:24
4 Eleuthéria 7:06
5 The Dream Paradox 7:58
6 Endgame 3:33
BILL FRISELL (g)
JULIAN LAGE (g)
GYAN RILEY (g)
recorded May 23-24, 2023 at Eastside Sound, NYC
