ソフト・マシーンので注目された彼の初リーダーアルバム
ベルベット・ダークネス / アラン・ホールズワース
アラン・ホールズワースにとって初のリーダーアルバム。CTIからのリリースである。
さてWikipediaには、このアルバムについて以下のような記述がある。
「ホールズワース本人によれば、このアルバムに収録された曲は、もともとリハーサル・セッションの間に録音されたもので、彼や、バンドの他のメンバーの同意がないまま、その後CTIから発表されたということである。したがって、ホールズワースは、このアルバムは正式な許可がないまま発表されたものであり、自分の作品の目録に加えられるべきではないと考えている」
このように彼がこの作品の内容に納得していなかったのは事実のようだが、彼のオフィシャルサイトのディスコグラフィには、ちゃんと掲載されている。
渋々ながらも認めたということなのだろうか。
2017年の彼の死後に、関係者のあいだで何らかの判断があったのかもしれない。
いずれにしても記念すべき初のリーダーアルバムであることは間違いないし、彼自身の基準には届いていなかったのだろうが、いちリスナーとしてはじゅうぶんに聴きごたえがある作品だ。
全体としては、非常に攻撃的なジャズ・ファンクである。
いうまでも、もともと彼はジャズではなく、プログレッシブロックの人であって、このアルバムの前にすでにソフト・マシーンのメンバーとして活躍していた(アルバム1枚だけだが)
ただロックの側からみれば、彼のプレイはかなりジャズ、フュージョン寄りで、つまりは両面を兼ね備えていたということ。
1960年代末から70年代の前半は、ジャズ、ロックの音楽シーンのあちこちで混交が進んだ時期でもあり、そうしたムーブメントを代表する一人がアラン・ホールズワースだったということだ。
初のリーダー作ではあるものの、すでにスリリングでアグレッシブな、アラン・ホールズワース節が炸裂している。
ドラムはナラダ・マイケル・ウォルデン、ベースはアルフォンソ・ジョンソンと凄腕が揃っていて、アンサンブルの完成度は高い。
音の解像度が今一つで、今の基準からいえばオーディオ的にはつらいところはあるが、言い換えればそれは1970年代半ばという時代の音だとも言えるだろう。
なおCD化に際してボートラが5曲加えられ、サブスクでもそのエディションが聞ける。
1.Good Clean Filth
2.Floppy Hat
3.Wish
4.Kinder
5.Velvet Darkness
6.Karzie Key
7.Last May
8.Gattox
Guitar – Allan Holdsworth
Bass – Alphonse Johnson
Drums – Narada
Piano – Alan Pasqua