現代ニューヨーク・ジャズシーン屈指の3人が奏でるスリリングな快作
トリオ・グランデ / ギラッド・ヘクセルマン, ウィル・ビンソン, アントニオ・サンチェス
Trio Grandeというバンド名義のアルバムだが、ギラッド・ヘクセルマンのオフィシャルサイトのディスコグラフィに掲載されているので、彼の主要作品としてリーダーアルバムと同等に扱っていいだろう。
ギラッド・ヘクセルマンはイスラエル出身、ウィル・ビンソンはイギリス出身のサックス奏者、アントニオ・サンチェスはメキシコ出身のドラマーと、出身地はバラバラだが、現在は3人ともニューヨークのジャズシーンのど真ん中で活動中。
収録曲は全曲メンバーによるオリジナル。
非4ビートが中心で、やや変則的なトリオ編成だが、ベース音が聞こえるのは、ウィル・ビンソンがキーボードも弾いているからか。
自由度の高い変幻自在の演奏でありながら、オーバーダブなどポストプロダクションが練り込まれている印象で、いかにもイマドキのジャズだ。
だからといって、臨場感や即興性に欠けるかというと決してそんなことはなく、非常にスリリングで躍動感に富む。
なかでも6曲め「Gocta」は7/8拍子で、サンチェスのカラフルで解像度が高いドラミングの煽られるように、ヘクセルマン、ヴィンソンが絡みまくる、そのカッコよさは相当なもの。
ヘクセルマンの魅力が最も発揮されるのは、この編成ではないかと思う。
各楽器の空間での配置が明瞭な録音も素晴らしく、スピーカーで聴くのもいいが、ヘッドホンでディテールまで聴き込むのも楽しい。
Will Vinson - saxophones & keyboards
Gilad Hekselman - guitars
Antonio Sanchez - drums
1.Northbound
2.Elli Yeled Tov
3.Oberkampf
4.Upside
5.Scoville
6.Gocta
7.Firenze
8.Will You Let It