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JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Trio Grande:Urban Myth / Will Vinson, Gilad Hekselman & Nate Wood (2023)

超絶技巧に加え大道芸人的なユニークネスを持つトリオ

Trio Grande: Urban Myth

Trio Grande: Urban Myth

  • Whirlwind Recordings
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トリオ・グランデ:アーバン・ミス / ウィル・ヴィンソン、ギラッド・ヘクセルマン、ネイト・ウッド

ギラッド・ヘクセルマンら、ニューヨークの第一線で活躍中のメンバーによるトリオ作品としては、前作『Trio Grande』(別記事あり)に続くのが本作。

前作の紹介で「ヘクセルマンの魅力が最も発揮されるのは、この編成ではないかと思う」と書いたけれど、それは最小編成ゆえに、各人の持ち味・凄みが十分に発揮されつつも、非常にスリリングなインタープレイが味わえるからだ。

今回、ドラマーがアントニオ・サンチェスからネイト・ウッドに交代。

アントニオ・サンチェスのカラフルで疾走感のあるドラミングが大好きなので、ちょっとがっかりではあるのだが、ネイト・ウッドも超が付くほどの凄腕で、高い技術だけでなく型破りな破天荒さも持ち合わせているから、面白い編成だ。

ネイト・ウッドはマルチインストゥルメンタリストでもあるから、ここではベースも同時に弾くという離れ業も示している。

また、ウィル・ヴィンソンはサックスのほかシンセも弾いているし、ギラッド・ヘクセルマンもエレキとアコギを持ち替えつつ、エフェクター使いも満開。

「3人でここまで」という凄みは、前作を上回る。

アルバム全体を通して、しっとりと聞かせるスロウから、弾けまくるダンサブルなナンバーまで、繰り出される曲は色彩感に富む。

変拍子や転調もありまくりで、けっこう野心的、攻撃的でありながら、どこかポップで親しみやすい。

それは、彼らに大道芸人的なエンターテイメント性があるからだろう。

収録曲の多くはウィル・ヴィンソンからギラッド・ヘクセルマンのオリジナルだが、カヴァーが2曲。

ロイ・ハーグローヴの「Strasbourg St. Denis」は分かるが、ニック・カーショウのヒット「Dancing Girls」という選曲は意外でユニークだ。

 


Will Vinson (as)
Gilad Hekselman (g)
Nate Wood (ds)

1. Urban Myth
2. Ministry of Love
3. Navanad
4. Strasbourg St. Denis
5. Olive Tree
6. Dancing Girls
7. In My Head
8. Chorale
9. A Gift