ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

The Chopin Project / Kurt Rosenwinkel & Jean-Paul Brodbeck (2022)

現代ジャズギターの寵児が、ショパンの楽曲に挑戦した意欲作

THE CHOPIN PROJECT

THE CHOPIN PROJECT

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ショパン・プロジェクト / ート・ローゼンウィンケル & ジャン=ポール・ブロードベック

とにかく何か新しいことの挑戦しないと、気が済まないひ人なのだろう。

現代のジャズギターシーンを代表するギタリスト、カート・ローゼンウィンケルがショパンの楽曲に挑戦したのが、このアルバムだ。

2021年リリースの『Plays Piano』は、そのタイトル通り、ソロ・ピアノ作品で、多くのジャズファンを驚かせた。

そのままピアノ路線で来られたらどうしようかと思っていたら、本来のギターに戻ってくれて、ひと安心。

それでも演奏するのはオリジナルでもスタンダードでもんなく、ショパンだというのだから、やはり只者ではない。

日本でもよく知られている「24の前奏曲」などを、ジャズのフォーマットで解釈し、カルテット編成で演奏している。

スイス出身のピアニスト、ジャン=ポール・ブロードベックとの双頭だが、実際に彼は演奏だけでなくアレンジも担当しているそうだ、

ベースにはブロードベック・トリオのルーカス・トラクセル。
ドラムにはブラッド・メルドー・トリオでの活躍が知られるホルヘ・ロッシーで、ふたりとも決め所を心得た演奏ぶりだ。

原曲のメロディーをきちんと残しつつ、グルーヴはもちろんジャズ。

そもそもはピアノ曲なのだから、ギターで弾くのは簡単ではないはずだが、カートは持ち前の超絶技巧で鮮やかに処理。

アドリブに入ると完全な純ジャズとなり、自由度の高い演奏で聴くものを圧倒し、またショパンの流麗なテーマに戻っていく。

その緩急というか、ドラマ性が誠に鮮やかだ。

ジャン=ポール・ブロードベックのピアノのソロはやや情緒過多な印象もあるが、リリカルで雄弁で心地よい。

 

 

Kurt Rosenwinkel – Guitar
Jean-Paul Brodbeck – Piano
Lukas Traxel – Acoustic Bass
Jorge Rossy – Drums

 

01. Etude in E-flat minor (Op.10, No.6)    
02. Prelude in E-flat minor (Op.28, No.14)    
03. 'Raindrop' Prelude in D-flat major (Op.28, No.15)    
04. Valse in C-sharp minor (Op.64, No.2)    
05. Prelude in C major (Op.28, No.1)    
06. Nouvelle Etude in A-flat major (No.2)    
07. Prelude in B minor (Op.28, No.6)    
08. Nocturne in C-sharp minor (Op.27, No.1)    
09. Prelude in A minor (Op.28, No.2)    
10. Prelude in E major (Op.28, No.9)    
11. Prelude in A major (Op.28, No.7) (Bonus track)