ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Words Unspoken / Gilad Hekselman (2009)

イスラエル発、ジャズギターの若き俊英が放つ快作

Words Unspoken

Words Unspoken

Amazon

ワーズ・アンスポークン / ギラッド・ヘクセルマン

初のリーダー作だった2007年の前作『splitlife』が、多くのメディアやジャズギター好きに、好評をもって迎えられたギラッド・ヘクセルマンの、これが2作目のリーダー作。

前作は何と言ってもドラムにアリ・ホーニグ、ベースにジョー・マーティンというメンバーが強烈だった。

彼らの存在もあって、新人ギタリストながらという枠を越えて、この時期のギタートリオ作品としては、出色の出来栄えであった。

今作は、ベースは引き続きジョー・マーティンだが、アリ・ホーニグがいなくなって、ちょっと残念。

ただ、マーカス・ギルモアのドラムもかなりのもので、この人ロイ・ヘインズの孫だそうだが、トリッキーな技の繰り出し方など、なるほど祖父譲りとも思える。

主役であるギラッド・ヘクセルマンのギターはというと、もうやたらとうまい。

前作にも驚いたが、今回はさらにうまい。

まあ約3年経ってるのだから当然かもしれないが、これで20代前半とは思えないほど、完成されている。

フレーズは多彩でアイデアが豊富で、あれよあれよという間に、ぐいぐいと進んでいく。

でありながら、決して力まかせに突っ走っている印象はなく、音色はハートウォームで、フレーズの一音一音に歌心がある。

リズム隊も好演で、マーカス・ギルモアは割と攻めてくる感じで、ベースのジョー・マーティンは、どっしとした構えでアンサンブル支えつつ、推進役になっている。

ジョエル・フラームのテナーも、エモーショナルで聞き所たっぷり。

あまり吹きまくられても主役が霞むので、4曲参加がちょうどいい按分だった。

しかし20代前半で、これだけのことやっちゃって、あと何やるんだろ、とも思うが、全く余計な心配だろう。

 


Gilad Hekselman(G)
Joe Martin(B)
Marcus Gilmore(Ds)
Joel Frahm(Ts)1,4,7,10

1.Ga'agua
2.New York Angels
3.April In Paris
4.Words Unspoken
5.Countdown
6.Someone To Watch Over Me
7.Yo Mama's Blues
8.Time After Time
9.How Long Has This Been Going On
10.Will The Song Ever End?