ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Dream Louder / Rotem Sivan (2024)

現代NYジャズシーンを代表するギタリスト、口笛が印象的な8作目

Dream Louder

Dream Louder

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ドリーム・ラウダー / ロテム・シヴァン

ロテム・シヴァンはイスラエル生まれで、2008年にニューヨークに移住。

2009年にはスイスのモントルー・ジャズフェスのインターナショナル・コンテストに入賞。

2013年にデビュー・アルバム『Enchanted Sun』をリリースした。

以来、約10年で今作が8作目だから、実にコンスタントな活動ぶりである。

コンテンポラリーなジャズギタリストとして、NYのジャズシーンを代表する一人であり、かねて評価は高いが、日本での知名度は、ぶっちゃけいまひとつ。
もっと注目されていい存在だ。

技術的な練度は非常に高く、作編曲のアイデアも豊富で、ジャズはもちろんロック、R&B、フォーク、そして故郷イスラエルの音楽など、さまざまな要素を混交させつつ、コンテンポラリーなジャズの枠組みを拡張させつつある。

イマドキのジャズ・ミュージシャンに、そうした志向を持つ人は少なくないけれど、中でも彼はとりわけ野心的であり、多面的だ。

本作も、基本はトリオなのだが、ヴォーカル、さらには口笛をゲストに迎えて、哀愁や人肌感を加えているのが面白い。

オリジナルが中心だが、ビートルズの "Blackbird"、クルト・ヴァイルの "Mack The Knife"と、有名曲の料理の仕方もお見事。

ジーン・リッチーのフォークソング"West Virginia Mine Disaster"は、鉱山事故で夫を失った女性を歌った作品だが、本作での演奏も哀感に満ち、とりわけ口笛の響きが胸に迫る。

オリジナル曲の多くは彼の家族らに捧げられたものだそうで、"Lore Luv"のロアとは彼の妻、"The Tree (For Hilde)"のヒルダは妻の母の名前とのこと。

シヴァンはインタビューで
「このアルバムの目標は、僕が大切に思っている人たちをもっと幸せにしようとすることだった。音楽自体も、その人たちの思いを形にしたものだ。」
と述べている。

 

 

 

Rotem Sivan / g
Hamish Smith / b
Miguel Russell / dr
Sami Stevens / voc 
Luke Krafka / whistle


The Tree (For Hilde)
Anneleen
Dragon
Luc
Blackbird
Lore Luv
The Hamish
West Virginia Mine Disaster
Mack The Knife 
Magis