ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

The Near North Side / Terrace Martin & Calvin Keys(2023)

80代のレジェンド・ギタリストが甥っ子と共演

The Near North Side

The Near North Side

  • BMG Rights Management (US) LLC
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ザ・ニア・ノース・サイド / テラス・マーティン & カルヴィン・キーズ

かのパット・メセニーがリスペクトするという技巧派のベテランギタリスト、カルヴィン・キーズ。

1942年生まれだから、すでに80代に入ったレジェンドだが、なんとテラス・マーティンとの双頭アルバムをリリースした。

テラス・マーティンといえば、ケンドリック・ラマーやスヌープ・ドッグらの作品で知られる通り、ヒップホップとジャズを横断するプロデュースワークで注目を集める才人。

そしてテラス・マーティンは、カルヴィン・キーズの甥っ子だというのだから、びっくり!

このアルバムをリリースするにあたり、テラス・マーティンがSNSで紹介したエピソードがとても良いので、一部を訳してみた。

 


「母によると、私が生後6ヶ月頃の赤ん坊の頃、カルヴィンが父を訪ねて来たそうだ。その夜、私は泣いていた。母はひどくストレスを感じていたようだ。カルヴィンはギターを持って私のベビーベッドに行き、ジャズのスタンダードを弾き始めた。私はギターを見つめ、すぐに眠りについた。カルヴィンは何度も夜やってきて、このようなことを繰り返した。父と母は、これが私が音楽を好きになるきっかけだったと信じている」


本作の参加メンバーは、キーボードのポール・コーニッシュ、ベースのベン・ウィリアムス、ドラムスのクリスチャン・ユーマンと西海岸の現代ジャズシーンの腕利きが揃った。

「In a Sentimental Mood」「Cotton Tail」というデューク・エリントンの名曲など、カヴァーを中心に全8曲。
うち2曲(3&7)はカルヴィン・キーズのオリジナルだ。

全体にゆったりとリラックスした印象の演奏で、良い意味での抜け感が心地よい。

双頭アルバムであるわりには、テラス・マーティンはあまり目立っていないが、「The Near North Side」では素晴らしいサックスを聞かせてくれる。

 

 

1 The Island
2 Invitation
3 Potholes
4 In a Sentimental Mood
5 Cotton Tail
6 Peace
7 Beau Dollar
8 The Near North Side


Calvin Keys – guitar
Paul Cornish – keyboards
Ben Williams – bass
Christian Euman – drums
Terrace Martin – saxophone