ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

This Moment / Shakti <John McLaughlin> (2023)

マクラフリンのインド音楽ユニット、46年ぶりの新作

ディス・モーメント / シャクティ <ジョン・マクラフリン>

シャクティと聞いて「あーあれか」と気づく人はジャズファンにも少ないだろう。

なんせ46年ぶりなのだ。

私もリアルタイムで聞いてはおらず、ジョン・マクラフリンを聞くようになってから、後追いでようやくチェックした。

そもそもは、70年代前半、マクラフリンはマハヴィシュヌ・オーケストラを突如解散して天才タブラ奏者ザキールらとこのシャクティを結成した。

当時のマハヴィシュヌは人気絶頂期だったから、レコード会社などの関係者やジャズファンをずいぶん驚かせたらしい。

活動期間は短く77年までにわずか3作品を残して解散。

97〜00年に新生シャクティとして3枚のライブ盤をリリースし、その後もライブはやっていたらしい。

それが何と、新作のスタジオ・アルバムがリリースされたのだから、これは驚く。


シャクティはマクラフリンがジャズ・フュージョンにインド音楽を取り入れたというよりは、ほとんどまんまのインド音楽である。

しかし、ジャズの範疇が拡張した今ゆえに、70年代よりも、これを受け止め評価するジャズファンは多いのではないか。

マクラフリン、ザキールをはじめ、メンバーの超絶技巧ぶりは凄まじく、超高速で突っ走るユニゾンなどスキのない完璧なアンサンブルは圧巻。

かといって機械のような正確無比さではなく、オーガニックで野性味がある。

聞き手の、インド音楽への馴染みのなさ故に、新鮮な発見や驚きも多い。

ただ、唸るようなヴォーカルがかなりフューチャーされていて、そこは私の好みには合わなかった。

ジョン・マクラフリンのソロはあまり多くはないが、シャクティのこれまでの作品はアコギが多かったけれど、本作はエレキメインで、その切れ味はやはりマクラフリンならでは。

80歳を過ぎてのこの挑戦的な姿勢には拍手を送りたい。

 

 


John McLaughlin (g, ac-g, g-syn)
Zakir Hussain (tabla, chanda, madal, konokol)
Shankar Mahadevan (vo. konokol)
Ganesh Rajagopalan (vln, konokol)
Selvaganesh Vinayakaram (kanjira, mridangam, ghatam, konokol)


1. Shrini's Dream (Zakir Hussain, Shankar Mahadevan, Selvaganesh Vinayakaram, John McLaughlin) 6:31
2. Bending the Rules (Shankar Mahadevan) 7:11
3. Karura (John McLaughlin) 8:33
4. Mohanam (Selvaganesh Vinayakaram) 6:01
5. Giriraj Sudha (Carnatic Traditional; U. Shrinivas, Shankar Mahadevan) 10:38
6. Las Palmas (John McLaughlin) 4:11
7. Changay Naino (Zakir Hussain) 6:08
8. Sono Mama (John McLaughlin) 7:48