ディランやカーペンターズをカヴァー、ソロギターとトリオ、2枚組の意欲作
デイ・アフター・デイ / ベン・モンダー
デヴィッド・ボウイとの共演でも知られるベン・モンダーの2019年作。
リーダーアルバムとしては、これが6作目である。
1作目が95年だから、キャリアの割には数としては少ないが、この人は客演や双頭アルバムがかなり多いので。
本作はCD2枚組で、DISK1がソロ、DISK2がベース、ドラムとのトリオ作である。
個別にリリースしてもよさそうな感じだが、この一作でさまざまなベン・モンダー像を見せたかったということか。
全てカヴァーというのも、これまで自作曲メインだった彼からすると珍しい。
それも、ジャズ以外の楽曲、ヘンリー・マンシーニ、バート・バカラック、ジョージ・ハリスンなどポップス分野からの選曲が多い。
さらにタイトル曲はバッドフィンガーだし、カーペンターズの「オンリー・イエスタデイ」、ボブ・ディランの「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」など、ジャズではあまりやらねえだろ、な曲を取り上げているのが面白い。
Disc1のソロでは、コードやアルペジオを弾きながらの縦横無尽なソロは流石に達者。
ただ、トーンがあまり変わらないせいもあって、通して聴くと、やや単調というか起伏に欠ける印象は否めない。
Disc2のトリオでは、8ビートの曲が目立つのはやや意外。
ビル・フリゼールぽいというか、アメリカーナ的というか、ややゆるいめのおおらかな曲調が多く、ときおりディストーションを効かせたりはするが、全体にはゆったりめ。
アレンジがユニークなこともあって、なかなか楽しめるが、もうちょっと攻めたギターを聞きたかったのいうのが正直なところではある。
Ben Monder (G)
Matt Brewer (B)
Ted Poor (Ds)
Disc 1
1. Dreamsville (Henry Mancini) 6:30
2. Emily (Johnny Mandel/Johnny Mercet) 8:21
3. O Sacrum Convivium (Olivier Messiaen) 3:37
4. My One and Only Love (Guy Wood/Robert Mellin) 3:53
5. The Windows of the World (Burt Bacharach) 7:38
6. Never Let Me Go (Jay Livingston/Ray Evans) 6:43
7. The Midnight Sun Will Never Set (Quincy Jones) 8:27
Disc 2
1. Galveston (Jimmy Webb) 7:24
2. Dust (Danny Kirwan) 6:15
3. Long, Long, Long (George Harrison) 6:41
4. The Guitar Man (David Gates) 7:09
5. Goldfinger (John Barry) 6:00
6. Only Yesterday (Richard Carpenter/John Bettis) 6:13
7. Just Like a Woman (Bob Dylan) 4:54
8. Day After Day (Pete Ham) 6:18