ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

The Next Step / Kurt Rosenwinkel (2001)

変則チューニングを多用したダークな音世界

ザ・ネクスト・ステップ

ザ・ネクスト・ステップ

Amazon

ザ・ネクスト・ステップ / カート・ローゼンウィンケル

カートが2000年代の前半にVerveからリリースした4作品のうちの2作目。

ちなみに4作品は次の通り。
『The Enemies of Energy』 (2000年) ※1996年11月録音
『The Next Step』 (2001年) ※2000年録音
『Heartcore』 (2003年) ※2001年-2003年録音
『Deep Song』 (2005年)

 

本作品にはドラムにジェフ・バラード、テナーにマーク・ターナーという凄腕らが参加している。

この時期、彼はマンネリに陥っていたようで、その打開策として選んだのが変則チューニング。

これによって、それまで使っていたポジショニングやフィンガリングの手癖を、強制的に使えなくしたわけだ。

そこから、新しい響き、新しいフレーズが生まれるのではという試みは、挑戦としては野心的で意義はあるものの、当然のことながらリスナーにとって耳馴染みのいいサウンドになるわけはない。

非常に陰鬱として内省的。

つまりはその後「カートらしさ」として認識されるダークな音世界が、ここに誕生したわけだ。

ただ聞けばわかるが、決して破壊的で混沌としているわけではなく、マーク・ターナーのテナーの深遠な響きもあって、どこか幻惑的な世界に誘うような魅力がある。

また、ショーターやモンクらの影響も見え隠れし、ジャズの文脈にあることも確か。

それがカートが評価される理由だろう。

なお、タイトル曲で彼はピアノも弾いている。

 

Personnel: 

Kurt Rosenwinkel (guitar, piano)
Mark Turner (tenor saxophone)
Jeff Ballard (drums)
Ben Street (bass)

 

1.Zhivago
2.Minor Blues
3.A Shifting Design
4.Path of the Heart
5.Filters
6.Use of Light
7.The Next Step
8.Life Unfolds, A