ラテン・ジャズ・ピアノとフラメンコ・ギターの痛快なデュオ
スペイン・フォーエヴァー・アゲイン / ミシェル・カミロ&トマティート
ドミニカ出身のピアニスト、ミシェル・カミロと、フラメンコ・ギターの名手、トマティートによるデュオ作品。
彼ら二人によるデュオアルバムは、これで4作目だから、よほど相性がよく評判もいいのだろう。
ふたりともも「超」がつくほどの技巧派だが、ただテクニックを求道的に極めるようなシリアスさとは無縁であって、陽気でポジティブでエモーショナルでノリがいい。
本作も疾走感は半端なく、それぞれ縦横無尽に走り回っているようで、ピタリと息が合う瞬間は、ただただ見事。
フォルクローレ、フラメンコから、パット・メセニー「Antonia」やマイルス・デイヴィス「Nardis」のカヴァーナンバーまで選曲は多彩。
前半6曲は、比較的コンパクトにまとめられているが、アルバムのラストは全編で20分を超えるアランフェス協奏曲だ。
何をいまさらな曲ではあるが、アレンジのアイデアも、展開の緩急も、丁々発止の技の応酬も見事。
アルバム全体として音の粒立ちがクリアで解像度が高いので、それもまたたいへん心地よい作品だ。
なお、このデュオアルバムのそもそものスタートは2000年リリースの『Spain』で、かのチック・コリアの名曲を取り上げてのもの。
以降のデュオアルバムにも、ずっと“Spain”というワードが含まれていて、今回は『Spain Forever Again』となった。
そろそろ打ち止めのような気もするが、どうだろうか(笑
この動画は2024年7月、スペイン・ビトリアで開催されたジャズフェスでのもの