「間」や「余韻」までが美しい珠玉のギター&ピアノデュオ
ギター、ピアノ、それぞれ日本のトッププレイヤーである二人によるデュオ。
Double Rainbow名義では2013年にリリースされた『Voyage』に続く作品になる。
その後、デュオでの活動が続いていたわけではないようだが、2021年の宮本貴奈トリオのライヴに小沼ようすけがゲストで参加したことがきっかけで再始動したらしい。
本作はライヴ録音だが、ライヴハウスではなく浜松ヤマハホールでの収録。
YAMAHAの最高峰のグランド・ピアノCFXで録音してみたいという宮本の意向からだそうだで、なるほど音の響きは豊かで包容力があって良い。
全12曲のうち、小沼のオリジナルが2曲,宮本のオリジナル3曲。
カヴァーの選曲がなかなかで、アルバムタイトルになっている「After the Rain」はジョン・コルトレーンの『Impressions』から。
そして、ハービー・ハンコック「Tell Me a Bedtime Story」、チック・コリア「Five Hundred Miles High」、ラフマニノフのピアノコンチェルトのジャズアレンジも。
二人とも、とてつもないテクニシャンではあるが、丁々発止に渡り合う感じではなく、穏やかに語り合うかのような印象。
小沼の独特のフィンガー・ピッキングによる、クリアでハートウォーミングなトーンが心地よく、対話の「間」や「余韻」までも美しい。
どこかECMを思わせる感じもある。
しかし一方で、宮本のエネルギッシュなヴォーカル曲もあって、曲想の幅は広め。
ラストの「虹の彼方に」もヴォーカルメインだが、ピアニカのソロがほのぼのとして、穏やかで心地よいエンディングだ。
1 The Dolphin
2 The Unchanging Road
3 Tell Me a Bedtime Story
4 Rachmaninoff Piano Concert No.2 1st Movement
5 Because It's Friday
6 Ying-Yang Fermata~陰陽 Fermata
7 Sumiwataru~澄渡
8 Five Hundred Miles High
9 The Moon Only Knows
10 It Could Happen To You
11 After the Rain
12 Over the Rainbow