バルセロナを拠点とするギタリストがルディ・ロイストンらを迎えて
リアリティ・イズ・ニュアンス / アルバート・ヴィラ
アルバート・ヴィラはスペイン・バルセロナ出身。
1999年、オランダのアムステルダム音楽院に入学し、ジェシ・ヴァン・ルーラーに師事。
2004年、オランダ・ジャズ・コンクールで優勝し、翌年、奨学金を得てニューヨークの名門・マンハッタン音楽院で学ぶ。
修了後の2007年、故郷バルセロナに戻って本格的な演奏活動に入り、同年に初のリーダーアルバムをリリース。
以後、バルセロナを拠点に活動を続け、本作が7作目のリーダーアルバムになるようだ。
彼はこれまで、カルテットやソロ、ヴォーカルとのデュオなど、さまざまな編成でアルバムをリリースしてきたが、今回は最小規模のアンサンブルであるギタートリオ。
それもベーシストにダグ・ワイス、ドラマーにルディ・ロイストンという凄腕を迎えてのもので、ぶっちゃけ私がこの作品に注目したのも、彼らに惹かれた部分が大きい。
全曲がアルバート・ヴィラのオリジナルで、大枠で言えばイマドキ感のあるコンテンポラリー路線。
4ビートもあれば、非4ビートもありで、当然ジェシ・ヴァン・ルーラーの影響は強く、また、他のコンテンポラリー系ギタリストと同様にカート・ローゼンウィンケルの影響も色濃い。
正直言って特段のサプライズはないのだが、現代的なジャズギター・トリオとしての完成度は高いし、ソロにもコードワークにも随所に才気が感じられ、リズム隊との絡み方もスリリングで良い。
ただ、ミディアム以下のテンポの曲が大半なので、ちょっとダレる感じはあるし、躍動感のあるロイストンの持ち味を活かすならば、アップが数曲あってもよかったかなと思う。
それにしても、「Hope」「Blue」「April」とか、ちょっとタイトルの付け方が大雑把すぎないか。
凝れば良いというものでもないけれども(笑)
正確な年齢はわからないが、アルバート・ヴィラはおそらく40代後半のはずなので、これから円熟味を増していきそうだ。
注目したい。
Albert Vila (g)
Doug Weiss (b)
Rudy Royston (ds)
1. Hope 6:20
2. Blue 8:19
3. Northern Flower 7:59
4. Healing 7:58
5. The Loner 4:08
6. 215 1:20
7. 216 5:16
8. Ancient Kingdom 7:48
9. April 6:03