ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

PICTURE / Shin Sasakubo & Joana Queiroz (2023)

秩父を拠点とするギタリストとブラジルのクラリネット奏者の秀作デュオ

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ピクチャー / 笹久保伸&ジョアナ・ケイロス

秩父を拠点に活動するギタリスト笹久保伸と、現代のブラジルを代表するクラリネット奏者ジョアナ・ケイロスとのデュオ。

大友良英氏がMCを担当しているNHK-FM「ジャズトゥナイト」、2024年2月10日の放送回にて紹介されていて興味を抱いた。

調べてみると、本作のそもそものリリースは2023年1月。

そのときはアナログリリースで、今回、番組に取り上げられたのは、24年1月にCD化されたからのようだ。寡聞にしてアナログのことは知らなかった。

笹久保伸は1983年生まれ。
父親の仕事の関係により1歳まで南米ペルーで過ごし、幼少の頃より南アメリカ音楽に興味を持ち、ケーナ、シーク他、民族楽器の演奏を始める。
その後、クラシックギターを学び、国内外の多くのコンクールで受賞。17歳より本格的に音楽活動を始める。
2004年〜2008年ペルーに在住しアンデス音楽を研究。
帰国後は秩父を拠点に、世界各国の音楽家とリモートでアルバムを制作するなど、精力的な音楽活動を行っている。

ジョアナ・ケイロスは現代のブラジルを代表するクラリネット奏者で、すでに数多くのリーダー作をリリースし、ジルベルト・ジルやエルメート・パスコアールらブラジルのレジェンドたちとの共演も多い才人だ。


本作の内容を簡潔に言うなら、やや陳腐な表現になるが、たおやかで精密な音で描いた美しき心象風景というべきもの。

タイトルも全曲「Picture」とあるだけだ。

あえて意味を込めず、ただただ風景だけを描いたということか。

ジャズや現代音楽、ショーロ、フォルクローレなどが溶け合った、リリカルな音世界。

ECMぽくもありアンビエント的でもあり、巨匠ヤン・ガルバレクや最近ではサム・ゲンデルなどを連想させたりもする。

番組中の大友氏のコメントを簡単にまとめると
「聞き流すこともできる音楽なのだけれど、聞けば聞くほど、すごくディープなところで本当に面白いことが起こっている音楽。
一個一個の音色や弦の鳴り方が見事。単にバラバラ弾いているのとは違う、一音一音の重みが伝わってくる。一個一個の音が丁寧に響いていて、それが見事に一つになっている」

確かに音の一粒一粒の響きが素晴らしい。

取り急ぎサブスクでチェックしたのだけれど、これはCDが欲しくなる一枚だ。

 


01.Picture I
02.Picture II
03.Picture III
04.Picture IV
05.Picture V
06.Picture VI
07.Picture VII
08.Picture VIII
09.Picture IX
10.Picture X