ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

STEREO CHAMP / MAY INOUE STEREO CHAMP (2017)

90年代生まれの英才ギタリストがバンド形式で放つサード

STEREO CHAMP / ステレオチャンプ

STEREO CHAMP / ステレオチャンプ

  • アーティスト:井上銘
  • リボーンウッド
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ステレオ・チャンプ / 井上銘ステレオ・チャンプ

ギタリスト井上銘が率いるSTEREO CHAMP名義による初のアルバム。

井上のソロ作は、本作の前に2作品あり、その意味では彼のサード・アルバムとも言える。

デビュー当初から「日本ジャズシーンの未来を担う逸材」と高い評価を得た彼が、バンド形式でその新たな才を示したのが本作だ。

彼は91年生まれだから、リリース時点でまだ26歳である。

全体としてクロスオーバー色が強く、曲によってはかなりロックぽい。

もともと井上はロック少年であって、レッド・ツェッペリンに熱中していたことは、ファンにはよく知られた話。

その後、マイク・スターンに憧れてジャズの道に入ったそうだが、今回バンド形式になって、かつてのロック少年の血が騒いだのか、オーソドックスなジャズだったソロ作とは一線を画す。

クロスオーバー、ロック的とはいっても、それ一辺倒ではなく、サイケだったりファンキーだったり、多彩で開放的。

尖ってはいるけれど、どこかで遊び心も感じられ、作編曲が達者なこともあって飽きさせない。

井上のギターはフレーズのアイデアが豊富で聞き所満載だが、曲ごとの音色にもっと変化をつけてもよかったかなと思う。

メンバーは皆腕利きだが、なかでも類家心平のトランペットは雄弁で、彼もまた日本ジャズシーンの未来を担う逸材である。

 

※動画は2018年8月のライヴのダイジェスト



01.introduction
02.Comet 84
03.REMM
04.Heliotrope
05.Taiji Song 1
06.Taiji Song 2
07.Showtime Blues
08.1 Year Later
09.Soldier“R”
10.Fu-linkazan


井上銘(gt)
類家心平(tp)
渡辺翔太(pf,key)
山本連(b)
福森康(ds)