ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Nocturnes / Mikkel Ploug Group (2023)

北欧屈指のギタリストが、テナーのマーク・ターナーを迎えての“夜想曲”

Nocturnes

Nocturnes

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ノクターンズ / ミケル・プロウ

デンマークのギタリスト・作曲家ミケル・プラウグの2023年作。

この人のオフィシャルサイトは、あまりタイムリーに更新されていないようで、きちんとしたディスコグラフィーもないので、これが何作目になるのかよくわからない。

基本的にはコンテンポラリー・ジャズで、ビル・フリゼールからの影響は強そう。
とはいっても、コンテンポラリー系のジャズギタリストでビルの影響下にない人の方が珍しいわけだが。

1978年生まれだから、現在40代の半ば。
中堅からベテランの域に入りつつあるキャリアだ。

『Nocturnes』は、ベーシストJeppe Skovbakke、ドラマーSean Carpioとの自身のグループに、テナーの名手Mark Turnerを迎えての作品。

マーク・ターナーとは、かなり長いつきあいのようで、2018年にはデュオ・アルバム『Faroe』(別記事あり)をリリースしている。
これは、グラミーの「ベスト・インストルメンタル・ジャズ・アルバム賞」にノミネートされた秀作だ。

 

本作は“夜想曲”というタイトルが示しているとおり、夜をテーマにしたアルバム。

デンマークの現代音楽の作曲家ベント・ソレンセンやカール・ニールセンの作品とミケルのオリジナルとで構成されているが、全体に統一感がある。

日本人のジャズファンが連想しがちな“北欧ジャズ”のイメージ、いわゆる叙情性や透明感、凛とした音の佇まいを感じさせつつ、しっとりとした夜の空気を漂わせている....野暮な表現だが、そんな印象だ。

ミケルのギターは、音に芯がありつつも、なめらかで浮遊感があり、音空間の構築力にも優れている。

マーク・ターナーのサックスは、流麗で温もりがあり、実によく歌う。
夜の帳のなかに、あたたかな炎が揺らめいている、そんな印象だ。

 

01. Stockholm Night Lights
02. Mignon, Und Die Sanne Geht Unter
03. Sænk Kun Dit Hoved, Du Blomst
04. Lacrimosa
05. Und Die Sanne Geht Auf
06. Monet
07. Sigrids Wiegenlied
08. Peace Chant
09. Nocturnal
10. Song Can Tend The Ailing Spirit


Mikkel Ploug - (guitar)
Mark Turner - (tenor sax)
Jeppe Skovbakke - (double bass)
Sean Carpieo - (drums)