多種のギターとエフェクターを駆使したユニバーサルなサウンド
ムンド・ソロ / ファビアーノ・ド・ナシメント
ブラジルのリオデジャネイロ出身で、現在はロサンゼルスを拠点に活躍中のファビアーノ・ド・ナシメント。
彼を「ジャズギタリスト」と呼ぶのは憚られるが、ブラジル音楽を基調としながら、ジャズ、現代音楽、エレクトロニカなどの要素を巧みに取り込み、自らの音楽へと昇華するその姿勢は極めてジャズ的だ。
本作のリリースは2023年だが、録音は2020年。
コロナ禍の真っ只中ということか。
『Mundo(世界)Solo』というタイトル通り、このアルバムは基本的にファビアーノのソロ。
パーカッションなどのゲストが参加しているものの、演奏における比重は低く、ギターを前面に押し出している。
とはいえ、この人のことなので、並のソロではない。
6弦、7弦、10弦のほか、バリトンやエレキ、そしてオクタヴ・ギター(ジャケット中央に写る小型ギター)など、さまざまなギターを駆使。
巧みなエフェクター使いもあって、立体的で奥行きのある音像を描き出している。
即興が中心のようで、演奏の自由度は高くスリリング。
とはいえ尖った印象は薄く、音の佇まいは端正で情感豊かだ。
全体に無国籍風で、アンビエント的な傾向が強いので、ジャズ的なグルーブを愛好する人には不向きかもしれないが、ときにはこうした音世界に身を置くのも悪くないと思う。
1.Abertura 02:26
2.Curumim 2 03:02
3.Paperstrings 01:33
4.Agua de Estrellas 02:20
5.Bari 03:03
6.Etude 1 02:24
7.Meianoite 02:25
8.Reflections 04:13
9.Coisa 01:44
10.Coisa 2 03:21
11.CPVM 01:22
12.Txaii 01:50
13.Tempo 04:36
14.De Manhã 04:37
15.Dormenor 08:12