ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Nurture the Child / Challenge the Adult/Harry Christelis (2023)

ビル・フリゼールを敬愛するロンドンの若き精鋭、3作目のリーダー作。

ナーチャ・ザ・チャイルド / チャレンジ・ザ・アダルト/ハリー・クリステリス
ロンドンで生まれ育った若き精鋭の3枚目のリーダーアルバム。
1988年生まれだから30代半ば。
特別若いというわけでもないが、70代のジャズミュージシャンが多々活躍中であることを考えれば、若手といっていいだろう。
ガンガン弾きまくるタイプではなく、空間の中に音のレイヤーをゆったりと重ねていくような、浮遊感、アンビエント感のある演奏が持ち味で、そのあたりはいかにもイマドキぽい。
ビル・フリゼールを敬愛しているそうで、なるほど音の質感は似ているし、ロンドン子なのにアメリカーナぽいフレーズがけっこう出てくるのも、ビルの影響なのだろう。
まあ、コンテンポラリーなスタイルの若手で、ビル・フリゼールの影響下にないジャズギタリストを探すのも難しいだろうが。
全体に静かな曲調が多いせいか、リズム隊は控えめだが、時折すっと前に出てくるベースのソロはかなり印象的。
やや遠くから届いてくるような、哀感のあるトランペットの響きもいい。
「Lu」では、ギターとペットが同時にそれそれ別のソロをとっているのだが、ふとフレーズが重なる瞬間があるのが印象的だ。
ネットでチェックする限り、あまり注目されていないような印象だが、次作を期待するに十分な出来栄えだと思う。
 
このライブのメンバーは、本アルバムと同じ。


 

 
Harry Christelis – guitar, 
Christos Stylianides – trumpet
Andrea Di Biase – double bass
Dave Storey – drums
 
 
1.Horizon 
2.Zero Hours 
3.In These Places We Live 
4.Walking Blue 
5.Lu 
6.Prism 
7.Missing 
8.Explorations Of One's Self Inside A Caravan
9.Missing (Alternate Take)