ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Valentine / Bill Frisell (2020)

現代ジャズギターの重鎮がその本領を発揮したトリオ作

ヴァレンタイン

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ヴァレンタイン / ビル・フリゼール


現代のジャズシーンにおける代表的なギタリストの一人、ビル・フリゼールのトリオ作。

すでに重鎮に域に入りつつあるフリゼールだが、常に溌剌とした演奏を聞かせるのが彼の持ち味で、本作でもその本領が発揮されている。

アメリカーナ的でフォーキーなサウンドは、いかにもなフリゼール節。

巧みなエフェクター使いで、空間に音のレイヤーを漂わせるかのような演奏も彼ならでは。

ドラムはルディ・ロイストン、ベースにはトーマス・モーガン。

この3人での作品は、本作が初だが、トーマスとは共演しているアルバムがあるし、3人でのライヴは2年くらいやっているそうで、このメンツでのアルバム制作はフリゼールの念願だったという。

当然のごとく息はぴったりで、絡んでは引き、煽っては控え、の対話が絶妙だ。

フォーク調の静かめの曲でも、リズムワークはきめ細かくて飽きさせないし、4ビートでは特にロイストンの躍動感がいい。

フリゼールのオリジナルが中心だが、バート・バカラックの「What The World Needs Now Is Love」のハーモニーのたとえようもない美しさ。

そして、ラストのトラディショナルなプロテストソング「We Shall Overcome」。

この2曲には強いメッセージ性が感じられ、それもまたフリゼールらしい。

 

動画は20年7月ブルックリンの屋外で、このトリオでの「What The World Needs Now Is Love」。
マスクしているのは、いうまでもなくコロナ禍ゆえである。

何でロイストンが全然映らない位置にカメラを固定したのか謎だが(笑)

 

 

 

1.Baba Drame (Boubacar Traore)
2.Hour Glass (Bill Frisell)
3.Valentine (Frisell)
4.Levees (Frisell)
5.Winter Always Turns To Spring (Frisell)
6.Keep Your Eyes Open (Frisell)
7.A Flower Is A Lovesome Thing (Billy Strayhorn)
8.Electricity (Frisell)
9.Wagon Wheels (Billy Hill/Peter DeRose)
10.Aunt Mary (Frisell)
11.What The World Needs Now Is Love (Burt Bacharach/Hal David)
12.Where Do We Go? (Frisell)
13.We Shall Overcome (Traditional)


Bill Frisell (G)
Thomas Morgan (B)
Rudy Royston (Ds)