ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

West Of Middle / Steve Cardenas (2010)

自らのルーツに目を向けたアメリカーナ色の濃いトリオ作

West of Middle

West of Middle

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ウエスト・オブ・ミドル / スティーヴ・カーデナス

スティーヴ・カーデナス、3作目のリーダー作。

前作『Panoramic』は2004年リリースだから、けっこうインターバルがあったことになる。

1作目の『Shebang』はトリオで、2作目の前作はテナーを加えたカルテット。

リズム隊は2作ともベースがラリー・グレナディア、ドラムがケニー・ウォルセンだったが、本作ではメンバーを変えてきた。

ベースはベン・アリソン、ドラムはルディ・ロイストン。

この3人、実はベン・アリソンのパーマネント・バンドThe Ben Allison Bandのメンバーで、気心の知れた間柄のようだ。

ベン・アリソンはすでに9枚のリーダー作をリリースしているほどの実績があるし、ルディ・ロイストンはリーダー作こそないが、ビル・フリゼールのバンドでの活躍なども知られている腕利きだ。

本作はカーデナスのオリジナルが8曲と、キース・ジャレットの「Blue Streak」で全9曲。

非4ビート系が中心で、浮遊感のあるトーンも含め、いかにもコンテンポラリーなジャズ・ギターという印象。

前作は、ちょっとファンク、ブルース的な要素があったが、今回はややカントリーぽいというか、アメリカーナを感じさせる。

カーデナスはカンザス・シティ出身だそうで、タイトルもその位置を示すものだそうだから、自らのルーツに向き合ったという意味合いも強いのだろう。

時折、鋭角的なアドリブや、意表を突いたハーモニーを繰り出すが、全体的にはおおらかで、ビル・フリゼールを連想させる部分が多々あるが、彼のほどのアクというか異物感はない。

アリソンのベースは骨太で存在感があり、ここぞというソロは見事だし、ロイストンもまたキメどころを心得た演奏で、トリオとしての完成度は高い。

 

Steve Cardenas – Guitar
Ben Allison – Bass
Rudy Royston – Drums

1.Burt 05:13
2.Roundcup 04:58
3.West Of Middle 05:09
4.Blue Streak 04:27
5.Spindle 05:04
6.The Horse You Rode In On 03:22
7.Drifter 03:49
8.RR 03:10
9.Backroad 05:35