フルアコメインで流麗なバラードを聞かせるソロ作
ドリーム・ボックス / パット・メセニー
これはパット・メセニーの「ソロ・アルバム」、つまり演奏しているのは彼一人なのだが、ギター1本だけの完全なソロは1曲だけで、あとはバックのギターにソロを重ねて録音している。
パット・メセニーは、これまで一人で演奏したアルバムを5枚リリースしているが、それらはほとんどアコギ中心。
直近、といっても10年以上前の2011年にリリースしたソロ『What's It All About』は、バリトンのアコギがメインだった。
しかし今回は、一部でバリトンギターを使ってはいるものの、ほとんどのパートをエレクトリック・ギター(フルアコ)で演奏しているようだ。
メセニー特有の、あの絶妙にコントロールされたフルアコの音が好きなファンには堪えられないだろう。
このアルバムはコンセプトから練り上げて創っていったものではなく、録り溜めていたものからセレクトしてまとめていったらしいが、そうとは思えないほど統一感がある。
オリジナル作品6曲に加えて、スタンダードが3曲。
なかでもバラードの美しさが耳に残る。
似たような印象のスロウが多く、起伏、メリハリが弱いが、全体に品があって流麗で華やかだ。
60歳代後半のベテランだというのに、渋さや枯れた味わいはほとんどなく、その瑞々しさには驚くばかり。
このティーザーを見ても、外見も若い時とほとんど変わらないなあ。
1.The Waves Are Not The Ocean
2.From The Mountains
3.Ole & Gard
4.Trust Your Angels
5.Never Was Love
6.I Fall In Love Too Easily
7.P.C. of Belgium
8.Morning Of The Carnival
9.Clouds Can't Change the Sky