単音中心のギターソロがあざやかで痛快なトリオ作
タイム・アンド・インフィニット / アダム・ロジャース
アダム・ロジャースはものすごく客演の多いギタリストで、ジャズは言うに及ばず、なんとドリカムのツアーメンバーとして参加するくらいなのだ。(日本の楽器店で良いギターを見つけて購入し喜んでいたらしい)
それだけ多様な音楽への対応力があり、技術が高く、バンドメンバーとしての役割をわきまえているということなのだろう。
相当忙しいと思えるが、リーダー作もこの6年で4作品リリースしており、非常にコンスタント。
活動の充実ぶりが伺える。
本作はスコット・コリーとビル・スチュワートという超強力なリズム隊とのトリオ作。
この二人の曲展開の推進力と決め所での技はまことに見事で、彼らに煽られるように、アダムは主に単音でがんがん弾いている。
約半分がオリジナルで、そのほかはコール・ポーター、ジョージ・ガーシュウィン、チャーリー・パーカーというバランスのとれた内容。
1曲目のそのコール・ポーター「Night And Day」での疾走感あふれる流麗なソロは痛快極まりない。
ただアップテンポの曲はこれと7曲目「Without A Song」くらいで、あとはわりと品よく大人しめ。
アコギも3曲あって、もちろん上手いのは上手いのだが、「Night And Day」くらいエレキでガンガンくる曲がもう2、3曲あって欲しかったというのが正直なところで、これは次作以降に期待。
ちなみにアダムは、同じくコンテンポラリー・ジャズ・ギターのキーパーソンであるウルフガング・ムースピールと同い年。
ライバル心があるかどうかは知らないが、互いに切磋琢磨して、これからのジャズギターシーンを引っ張りつつ刺激を与えてほしいものだと思う。
Adam Rogers (G)
Scott Colley (B)
Bill Stewart (D)
1.Night And Day
2.Elegy
3.Time And the Infinite
4.young And Foolish
5.Cheryl
6.Esteban
7.Whithout A Song
8.Ides of March
9.I Loves you, Porgy