なぜか20年以上もお蔵入りになっていた名作
ブルージン・アラウンド / ケニー・バレル
リリースは1983年だが、録音は61年~62年である。
彼の代表作でありジャズ史上に輝く傑作『ミッドナイト・ブルー』(別記事あり)の録音、リリースが63年。
『ミッドナイト・ブルー』がヒットした勢いからすれば、この『ブルージン・アラウンド』も64年ごろ発売すれば売れたに違いないが、何故だが見送られたのだ。
本作の前半5曲はケニー・バレルのオリジナル。後半の4曲はデューク・エリントン等のスタンダードという構成。
参加メンバーは多彩で、ピアノにハンク・ジョーンズ、オルガンにジャック・マクダフ、テナーにイリノイ・ジャケーと豪華。
深くまったりとした『ミッドナイト・ブルー』とはやや異なり、アルバム全体として躍動感があり華やかな印象だ。
バップあり、ブルースあり、ラテン調ありと多彩で、バレルはシングルトーンでの流麗なソロは当然のこと、バックに回ってのカッティングも冴え渡っている。
とりわけ印象的なのは「The Switch」。
これぞハードバップと言わんばかりの痛快な演奏で、疾走感あふれるバレルのアドリブはもちろんのこと、イリノイ・ジャケーのエネルギッシュなブロウも聴き応え十分。
イリノイ・ジャケーは、このアルバムのもう一人の主役といっていい活躍ぶりで、計5曲に参加。
彼のファンにもぜひ聞いてもらいたい作品だ。
1 Mambo Twist
2 The Switch
3 The Squeeze
4 Bluesin' Around
5 Bye and Bye
6 Moten Swing
7 People Will Say We're in Love
8 One Mint Julep
9 Mood Indigo
Kenny Burrell - guitar
Eddie Bert - trombone (track 4)
Illinois Jacquet - tenor saxophone (tracks 1-3, 5 & 9)
Leo Wright - alto saxophone (tracks 6-8)
Hank Jones - piano (tracks 1-5 & 9)
Jack McDuff - organ (tracks 6-8)
George Duvivier (track 4), Major Holley (tracks 1-3, 5 & 9) - bass
Osie Johnson (tracks 1 & 2), Louis Hayes (track 4), Jimmy Crawford (tracks 3, 5 & 9), Joe Dukes (tracks 6-8) - drums