偉大な先達の曲を、現代的なアプローチで蘇らせたトリオ作品。
エンジェルズ・アラウンド / カート・ローゼンウィンケル・トリオ
ジャズ界屈指のエレキベースプレイヤーであるダリオ・デイッダ。
現代ジャズ最高峰ドラマーの一人、グレッグ・ハッチンソン。
強力なメンバー二人を迎えてのギタートリオ作品である。
カート・ローゼンウィンケルとダリオ・デイッダの作品が1曲ずつ入っているほかは、セロニアス・モンク、ビル・エヴァンス、チャールズ・ミンガスら偉大な先達の曲が中心。
もちろん古さは微塵もなく、カートらしいイマドキ感満載のフレーズやエフェクター使いで、2020年にふさわし仕上がりになっている。
ジャケットデザインをみたとき「のどかでゆったりしか感じなのかな」と思ったが、ほとんどの曲がミディアム以上のテンポで、躍動感、疾走感が半端ない。
カートの流れるような超高速フレーズは圧巻で、ただテクを見せつけるのではなく、余裕というか歌心というか、懐の深さを感じさせる。
ダリオ・デイッダはエレベのほか、一部の曲ではセミアコベースを使用。
エレベのトーンもウッディで、カートの音と相性がいい。
アップテンポが多いせいか、グレッグ・ハッチンソンのドラムは、ややロック寄りの切れ味を見せている。
作品ごとに趣向を変えてくるカートのことだから、この顔ぶれでずっと続けるとは思えないが、これほどのギタートリオはそうそうないので、できればもう1、2枚リリースして欲しいと思う。
Kurt Rosenwinkel (G)
Dario Deidda (B)
Greg Hutchinson (Ds)
1. Ugly Beauty (Thelonious Monk) 6:30
2. Ease it (Paul Chambers) 5:54
3. Self Portrait in Three Colors (Charles Mingus) 7:24
4. Simple #2 (Kurt Rosenwinkel) 9:47
5. Punjab (Joe Henderson) 6:30
6. Time Remembered (Bill Evans) 6:43
7. Angels Around (Dario Deidda) 6:00
8. Passarim (Antonio Carlos Jobim) bonus track 6:00