ザ・クリーパー / デニス・バディミール
レッキング・クル-のメンバーだったギタリストの初リーダー作
西海岸で長く活躍しているベテランのジャズ・ギタリストでセッションギタリストのデニス・バディミール。
マリーナ・ショウの名盤『WHO IS THIS BITCH, ANYWAY?』(1975)への参加で、R&Bやポップスのファンにも広く知られるようになった。
まあ、このアルバムにはデヴィッド・T.ウォーカーとラリー・カールトンが参加していて、彼等に比べればいささか影は薄いが、それでも3曲に参加している。
ジャズ・ギタリストとして60年代からチコ・ハミルトンらともプレイしているのだが、スタジオミュージシャンとしての活躍が華やか。
参加作品のあるアーティストをざっと挙げるだけでも、ランディ・ニューマン、マリア・マルダー、ビル・ウィザース、バーバラ・ストライサンド、メリサ・マンチェスター、リンダ・ロンシュタットら、当時のトップアーティストがずらり。
ハル・ブレインらとともに、かのレッキングクルーの一員でもあったのだ。
そんな彼の初のリーダー作品が、このアルバム。
内容は、メインストリームのジャズではなく、西海岸のジャズのトランペッターで映画音楽でも名を馳せたショーティ・ロジャースのカヴァーが半分。
あとは、主にポピュラーソングのカヴァーで、ボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」などを取り上げている。
選曲は大衆的ではあるが、デニス・バディミールの腕は言うまでもなく確かで、効かせどころのツボを押さえたプレイはさすが。
ソロの流麗な指さばきにはジャズギタリストとしての辣腕ぶりが示される。
CTIなどがブームになる前の作品だけれど、こういうソフトで耳あたりのいい作品へのニーズはあったということで、いわばクロスオーバー前史の快作として覚えておきたい。
1 Diamond Back
2 What The World Needs Now Is Love
3 Like A Rolling Stone
4 The Cobra
5 The Creeper
6 Eve Of Destruction
7 In
8 The Python
9 I Got You Babe
10 Cast Your Fate To The Winds