ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Lean In / Gretchen Parlato & Lionel Loueke (2023)

当代随一のジャズ・ヴォーカル&ギターがコラボした傑作

リーン・イン / グレッチェン・パーラト&リオーネル・ルエケ

リオーネル・ルエケのスタジオ・アルバムとしては、2020年の『HH』以来ということになるだろうか。

本作は、現代ジャズシーン屈指の歌姫、グレッチェン・パーラトとのコラボ。

ふたりはセロニアス・モンク・インスティテュートの同窓で、20年以上にもわたる盟友。

グレッチェン・パーラトのデビュー作『gretchen parlato』にも、リオーネル・ルエケは参加していて、その頃からずっとコラボ作を考えていたらしい。

ギターとヴォーカルのコラボというと、バラード中心の叙情的な仕上がりを連想しがちだが、本作はけっこう賑やかでダンサブル。

リオーネル・ルエケもグレッチェン・パーラトも、パーカッシブな奏法・唱法を得意とする人で、ここでもその持ち味は全開。

加えて、ふたりともパーカッションの楽器演奏も達者で、ぞんぶんにその腕を示している。

オーガニックでありながらも、躍動感、ワクワク感、グルーブ感に満ちた作品なのだ。

マーク・ジュリアナ(ds, pesc)、バーニス・トラヴィス(b)も参加していて、要所でいいアクセントを加えている。

収録曲は、ふたりのオリジナルのほか、クライマックスのカヴァー「I Miss You」、フー・ファイターズの97年作のセカンド『Colour & The Shape』から「Walking After You」など、なかなかユニーク。

基本はジャズだがアフリカーナの響きも感じさせ、シンプルな編成ながら、ふたりの技の巧みさゆえに深い。

かつ人間味があって親しみやすい。

個人的には2023年のジャズギターアルバムにおいて、屈指の作品だと思う。

 

 

1.Akwê 04:58
2.I Miss You 05:02
3.If I Knew (featuring Burniss Travis & Mark Guiliana) 04:26
4.Okagbé Interlude 01:19
5.Astronauta 04:54
6.Mi Wa Sé Interlude (featuring Marley Guiliana, Burniss Travis, Mark Guiliana) 00:57
7.Muse 04:47
8.Nonvignon 03:53
9.Lean In (featuring Mark Guiliana) 04:49
10.Painful Joy 04:16
11.Dou Wé Interlude (featuring Burniss Travis & Mark Guiliana) 01:12
12.Walking After You 04:30