ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

In This Moment / Sam Kirmayer (2022)

バピッシュ・ジャズの本道を行くカナダの新鋭ギタリスト

In This Moment

In This Moment

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イン・ディス・モーメント / サム・カーメイヤー

カナダ・モントリオール出身のギタリスト、サム・カーメイヤーのアルバム3作目。

2017年の『OPENING STATEMENT』はカルテット、2018年の『HIGH AND LOW』はトリオ(ベースではなくオルガンとドラム)だったが、今回はまた趣向を変えて、テナーやトロンボーン、ピアノの入ったセクステットによるオリジナル曲集である。

趣向が変わったといっても、サム・カーメイヤーのストレート・アヘッドな弾きっぷりは相変わらず。

太く厚みあるトーンで、滋味豊かなフレーズを次々と繰り出す様は、決して今風ではないのだが「ジャズギターって本来こうだよなあ」と、キャリアのあるジャズギター好きを唸らせるには、十分な腕前。

彼は1990年生まれで、まだ30代前半という若さながら、バピッシュ・ジャズの本道をまっすぐに走る姿勢には好感が持てる。

バップを基調とするテナー、ソウルフルな味わいのトロンボーンのソロの配置もいい塩梅で、バンド全体としてのスケール感が大きく、包容力がある。

サム・カーメイヤーの技の引き出しは相当多い印象なので、次作以降は、ベースとのデュオなどをじっくり聞かせてほしいと思う。

 

01. The Turnout
02. Cross Purpose
03. Sleight Of Hand
04. Blues For Proskurov
05. Afterthought
06. The New Same Old
07. In This Moment
08. Lost In The City
09. Quixote
10. Soliloquy

Sam Kirmayer (guitar)
Muhammad Abdul Al-Khabyyr (trombone)
Al McLean (tenor saxophone)
Sean Fyfe (piano)
Alec Walkington (bass)
Andre White (drums)