ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Amaryllis & Belladonna / Mary Halvorson (2022)

アマリリス&ベラドンナ / メアリー・ハルヴォーソン

BELLADONNA

BELLADONNA

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気鋭の女性ジャズ・ギタリストによる2つの優美な組曲 

CDとしては別の2枚なのだが、同時発売でどちらも同種のテーマで組曲という双子のような作品なのでまとめて。

メアリー・ハルヴォーソン1980年生まれで、ニューヨークのブルックリンを拠点に活動するギタリスト・作曲家。
名前でわかるとおり女性だ。

評論家などの玄人筋からは、今いちばん評価の高いギタリストで、アメリカの老舗ジャズ誌「ダウンビート」の年間批評家投票では、ここ数年連続してギタリスト部門の1位である。

いちいち言うまでもないが、カート・ローゼンウィンケルよりも、ビル・フリゼールよりも、パット・メセニーよりも、ジュリアン・ラージよりも評価は上なのだ。

作曲能力にも長けた人だが、ややアバンギャルドな作風が持ち味で、決して耳馴染みのよい作風ではない。

フリーキーというわけではないが、規則性を感じにくく、次の展開が読めずスリリング。

エフェクター使いも独特で、急に失速したかのような音が響く。

だからいって、小難しいかというとそうでもなく、軽やかで鮮やかなのだ。

『Amaryllis』は、Patricia Brennan(ヴィブラフォン)、Nick Dunston(ベース)、Tomas Fujiwara(ドラムス)、Jacob Garchik(トロンボーン)、Adam O’Farrill(トランペット)との6重奏団による演奏で、自由闊達で躍動感がある。

『Belladonna』は、弦楽4重奏であるThe Mivos String Quartetとの演奏で、ミニマルミュージックの影響なども感じさせるコンテンポラリーな作品。

決して一般受けするキャッチーな作品ではないものの、心身を覚醒させてくれる音楽であることは確かだ。

 

追記)

ダウンビート誌の年間批評家投票2023で、本作が「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」はチャールズ・ロイド、テリ・リン・キャリントンに次いで3位。ギタリスト部門では当然のごとく1位である。