ブリージン / ジョージ・ベンソン
ジャズ、R&B、ポップスの枠を超えた大ヒット作
このアルバムがリリースされた1976年当時、ジョージ・ベンソンは、10年以上のキャリアを持ち、ウェス・モンゴメリー直系のギタリストとしてすでに有名だった。
そんなベンソンを口説いて、AOR路線に向かわせたプロデューサーがトミー・リピューマだ。
彼は、ブルーサムレコードのオーナー時代、ベン・シドラン、クルセイダーズ、ポインター・シスターズなど、洗練されたAORテイストのR&B作品をいくつも手がけてきた。
その実績を見込まれてワーナーブラザーズにプロデューサーとして招かれ、同じくワーナーに移籍したばかりのベンソンと出会い、共に作品をつくることになる。
集められたミュージシャン、スタッフは精鋭揃い。
リズム隊は、ハーヴィー・メイソン(ドラム)、フィル・アップチャーチ(サイドギター)、スタンリー・バンクス(ベース)、ロニー・フォスター(キーボード)。
ストリングスアレンジにクラウス・オーガーマン、ミキシングエンジニアはアル・シュミットである。
ハーヴィー・メイソンらの、やや軽めではあるが心地よいグルーヴに載ったベンソンのギターは、実に流麗で歌心にあふれている。
そしてヴォーカルもまた素晴らしい。
かねて歌の巧さも知られてはいたが、ギターとの二刀流が見事に開花したしたのが、アルバム2曲目の「マスカレード」。
レオン・ラッセルの詞曲で、すでにカーペンターズやヘレン・レディがリリースしており、ジョージ・ベンソンはインストで録音する予定だったらしい。
ところが、スタジオで軽く歌っていたところ、その魅力に心を動かされたリピューマがヴォーカルのレコーディングを提案。
これが大当たりして、全米ポップス・チャート、R&Bチャート、ジャズ・チャートの3つでNO.1を獲得するという前代未聞の快挙を成した。
凄腕のジャズ・ギタリストは数多いが、ジャンルを超えて、ここまでのヒットを飛ばしたのはジョージ・ベンソンをおいて他にいない。
1.Breezin'
2.This Masquerade
3.Six to Four
4.Affirmation
5.So This Is Love?
6.Lady
※デラックス盤では3曲追加された