ジャズシーンからR&Bのヒットメーカーに躍り出た時期の傑作ライブ
メローなロスの週末 / ジョージ・ベンソン
1977年、L.A.ロキシー・シアターで収録されたライヴ・アルバム。
ジョージ・ベンソンのキャリアにおいて大きな転機になったのは、76年のワーナー・ブラザース・レコードへの移籍とトミー・リピューマとの出会い。
彼をプロデューサーに迎えたアルバム『ブリージン』は、ジャズの枠を大きく超えるヒットとなり、ジョージ・ベンソンの名は、R&Bやポップスのファンの中にも大きく広がった。
その次の年のライヴだからして、上り調子の熱気がありあり。
メンバーもハーヴィー・メイソン (ds) 、ラルフ・マクドナルド (perc) 、フィル・アップチャーチ (g) 、 ロニー・フォスター (key) 、ホルヘ・ダルト(key)スタンリー・バンクス(b)と、アルバム『ブリージン』のレコーディングメンバーでもあるフュージョン系の腕利きが、ずらり。
プロデュースはもちろんトミー・リピューマで、エンジニアにアル・シュミット、そしてアレンジにニック・デカロと錚々たる顔ぶれだ。
何日間か行ったステージからの選りすぐりのテイクなので、演奏の出来は素晴らしく、ライブアルバムとしての完成度は、この上なく高い。
だが、驚くのは、このメンバーでありながら、大ヒットアルバム『ブリージン』からの曲がひとつもないこと。
実際のライヴのセットリストがどうだったのかわからないが、このアルバムに収録されているのは、ほぼ全編が新曲(初リリース)なのである。
つまりは「ライブによるニューアルバム」とも言える内容なのだ。
だから、「ブリージン (Breezin')」「マスカレード (This Masquerade)」などを期待した向きにはいささか肩透かしかもしれないが、繰り返すが演奏の完成度はとても高い。
ドリフターズのトップ10ヒット「On Broadway」、レオン・ラッセルの「Lady Blue」などカバーの選曲もいいし、「Weekend In L.A.」「Ode To A Kudu」などのオリジナルの出来栄えもなかなかだし、のちにホイットニー・ヒューストンの歌でヒットした「The Greatest Love Of All」でのベンソンの歌いっぷりも相当なもの。
中でも白眉は「We All Remember Wes(我らのウェス)」
作曲はスティービー・ワンダーで、そもそもはこのライヴにも参加しているロニー・フォスターのアルバムのために書かれたらしいが、ロニーは「ウエス・モンゴメリーへのトリビュートならジョージ・ベンソンがやるべき」と気を配ったのだろう。彼の進言でベンソンのステージでの演奏が実現したそうだ。
音色も奏法も明らかにウェスを意識していると聞こえるが、あからまさまではなくさりげない演奏ぶりに、ウェスへの深い敬愛が込められていると思う。
それにしても、この初演奏をライヴで体験した観客は、幸せ者である。
本作は、ジャズチャートでは当然1位、R&Bチャートでも1位、そして総合でも5位を記録するヒットとなった。ベンソンの人気とライヴ作としての完成度を考えれば、それも頷ける。
ただ初のCD化である1988年盤は、音質がイマイチで、ちょっとぼやけた感じ。
2012年のリマスター盤は良いのだが、入手しづらくなっているようなので、再リリースを望みたい。
1 Weekend In L.A.
2 On Broadway
3 Down Here On The Ground
4 California P.M.
5 The Greatest Love Of All
6 It's All In The Game
7 Windsong
8 Ode To A Kudu
9 Lady Blue
10 We All Remember Wes
11 We As Love
Lead Guitar, Vocals – George Benson
Bass – Stanley Banks
Drums – Harvey Mason
Keyboards – Ronnie Foster
Rhythm Guitar – Phil Upchurch
Percussion – Ralph MacDonald
Piano, Keyboards – Jorge Dalto
