ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Beyond Belief / Albare (2024)

オーストラリアを代表するギタリスト、15作目がアメリカで好評

Beyond Belief

Beyond Belief

  • アーティスト:Albare
  • Alfi Records
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ビヨンド・ビリーフ / アルベア

アルベアは海外と日本で、知名度、人気にかなり差があるギタリストだと思う。

15作目にあたる本作『Beyond Belief』は、JAZZWEEKのチャートでベスト10に入っている(2024年5月13日付)

パット・メセニーやジョン・スコフィールドらの大物を除いて、ギターメインのアルバムがベスト10に入ることはあまりない。

かなりの人気、支持があるということだ。

しかしながら、日本においては、ジャズ関連やギター関連のメディアで彼の名前を眼にすることは、めったにない。

日本人にも好まれるタイプのギタリストだと思うのだけれど。

 

彼は、モロッコで生まれ、イスラエルとフランスで暮らしたあと、1983年にオーストラリアのメルボルンに移住。

現在もオーストラリアに在住しており、音楽活動のほか、実業家や経済団体の役員としても実績があるらしい。

 

初のリーダー作は2012年リリースの『LONG WAY』。
かの名門ENJAからである。

このとき“ワールドデビュー”とされていたから、オーストラリアではもっと早くデビューしていたのかもしれないが、いま彼のオフィシャルサイトを見ても『LONG WAY』が初のアルバムリリースになっている。

アントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュート作品を発表するなど、そちら方面の志向もあるようだが、ジャズギタリストとしては正統派の人。

インタビューで、ウェス・モンゴメリー、ラリー・コリエル、ジョー・パスの影響を受けていると語っているが、それは演奏スタイルにも表れている。

ブルージーな印象はほとんどなく、端正でハートウォームな音と、ハーモニー重視の流麗なフレージング。
わずかにラテンのフレーバーを感じる。

「ブルー・ボッサ」以外はオリジナルのようだが、オフィシャルサイトにも書いてないので、詳細はわからない。

長く一緒にプレイしてきたメンバーでのカルテットで、なるほどコンボとしての緩急も達者だ。

いまひとつサプライズに欠けるが、安心して身を委ねることができるのは確か。
だからチャートアクションがいいのだろう。

「I believe」で聞けるアル・ジャロウさながらのヴォーカルは、ライオネル・コール。

かのナット・キング・コールの甥っ子、フレディ・コールの息子のライオネル・コールである。

 

 

1 Missing in Action
2 Mad's Happy Day
3 No Regrets
4 Feeling Moody
5 I Believe
6 Ladino Jazz
7 Saling Away
8 Blue Bossa Reimagined
9 Hymn to My Friend
10 Hypothetical Retrospection

 

Albare – Guitars, Composer/Producer
Phil Turcio – Pianist Composer Arranger Producer
Pablo Bencid – Drums
Phil Rex – Bass
Lionel Cole – Voice on 「I believe」