「リズムリードギター」の使い手がオーケストラと組んだ極上のジャズ・ファンク
スターシップ・シンコペーション / コリー・ウォン&メトロポール・オルケスト
コリー・ウォンは、1985年ニューヨーク州ポキプシー生まれ。
20代の頃は、ミネアポリスのセッションミュージシャンとして活躍し、ジャズのほかファンクやR&Bを弾いていたそうで、そのせいかカッティングのキレがいいのが彼の持ち味。
メインで使っているのがストラスキャスターで、これもまたファンク系ゆえだろう。
アラフォーの中堅ギタリストであるが、作品はかなり多い。
自らの名前を冠した、初のアルバムが2008年の『Even Uneven』(Cory Wong Quartet名義)。
初のソロが2010年の『Becoming』で、以降、10作以上。
ドラマーのネイト・スミスと組んだバンドThe Fearless Flyersとしても、計5枚のアルバムとEPをリリースしている。
近年、日本での人気も高くなったようで、2023年フジロックに登場。
2024年6月に初の来日ツアーを行い、当初2公演の予定が、追加で計4公演になったそうだ。
本作は、オランダのオーケストラ、メトロポール・オルケスト(Metropole Orkest)との共演。
メトロポール・オルケストはオランダを拠点とする世界最高峰のジャズ・オーケストラで、ジョン・スコフィールドらジャズミュージシャンばかりでなく、エルヴィス・コステロら多彩なアーティストと共演を重ねてきた。
挾間美帆との共演で、彼らのことを知った人も多いだろう。
本作の基本はジャズ・ファンク。
コリー・ウォンは自分の奏法を「リズムリードギター」と呼んでいる。
これを大雑把に説明すれば、カッティングによるリズムギターを基調にしつつ、その和音の中にリードギターのようなメロディラインも盛り込んでいるということ。
ナイル・ロジャース、アル・マッケイ、ポール・ジャクソン・Jrなどの奏法にも同様の特徴がある。
本作ではこの「リズムリードギター」が全編で炸裂。
タイトル通り、心地よいシンコペーションに、思わず腰が踊る。
そこにメトロポール・オルケストが、ひと癖あるアレンジで絡んでくる。
相当難度の高いことをやってるはずだが、飄々と楽しげにやっているところが良い。
ファンクはこうでなくちゃ。
この動画はフェンダーのイベントでReiちゃんと共演したときのもの(2024年6月6日:東京)