ECMを代表するギタリスト二人が描く妖しくも美しい音空間
サーガッソーの海 / ジョン・アバークロンビー、ラルフ・タウナー
「クールな情感がひとつに溶け合い精緻な美に煌めく音楽を展開する」--
これはリリース当時、アルバムの帯に掲げられたキャッチコピーだが、ぶっちゃけ何が言いたいのかよくわからない。
タイトルが、謎の多い海域「サルガッソー」なのに、ジャケットは丘陵地帯みたいで、これもよくわからない。
中身はというと、ジョン・アバークロンビーとラルフ・タウナー、当時のECMレーベルの看板ギタリストが顔を揃えたデュオアルバムである。
アメリカの伝統的なジャズから縁遠いという点では似通った二人ではあるが、近づいて聞けば相当に違う。
ラルフ・タウナーの紡ぐアコギは優美で端正で多分にクラシック的で、レーベルのキャッチコピー「静寂の次に美しい音」をまさに地で行く演奏。
一方のジョン・アバークロンビーは、エレキ主体でエフェクトも多用しており、曲によってはかなりディストーションを効かせた妖しくもスリリングな音を刻んでいる。
というと神経を逆なでしそうな響きみたいだが、そこはECM、そこはレジェンドエンジニアのエリック・コングスハウクであるから、独特の深いリバーブで荘厳で包容力のある音空間を作り上げている。
いま聴いても全く古さは感じないが、そもそも時代感覚に乏しいというか、時流を追った作品ではないからだ。
それよりも気になるのは、この音楽の魅力をフルに引き出すようなハイファイオーディオが、現在はごく一部の好事家のものになりつつあること。
大きなスピーカーは難しいにしろ、せめて高性能なオープンエアのヘッドホンで聴きたい作品だ。
1: Fable
2: Avenue
3: Sargasso Sea
4: Over And Gone
5: Elbow Room
6: Staircase
7: Romantic Descension
8: Parasol
John Abercrombie – electric guitar, acoustic guitar
Ralph Towner – twelve-string guitar, classical guitar, piano
