デュエット / シルヴァン・リュック & ビレリ・ラグレーン
ジプシー(ロマ)ギターをベースにする二人のデュオ作品
本作は、シルヴァン・リュック(Sylvain Luc)とビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)が、1999年にリリースしたギターデュオ・アルバム。
じつはこの二人、とても共通点が多い。
二人ともフランス出身で、年齢は一つ違いの同世代。そして、奏法のベースにジプシー(ロマ)ギターがあり、アコギの名手である。
ジャケット写真でのビレリ・ラグレーンはエレキギターを持っているが、実際に演奏しているのは、ジプシージャズによく使われるマカフェリ・ギターというアコギだそうだ。
このふたりのデュオなので、パッショネイトなジプシージャズギターの応酬なのかというと、実際はそうでもない。
テクニックは極めて高度なのだが、非常にメロディアスで耳馴染みな良い演奏が並んでいる。
なのでジプシージャズを期待した人は肩透かしだが、心地よいアコギを味わいたい人にはもってこい。
心地よいアコギといってもヤワなイージーリスニングではないので、ギター好きも技の妙味を楽しめるだろう。
どちらかというとシルヴァンはコードワーク主体で、ビレリがメロディアスなソロを弾くという格好。
選曲がなかなかお洒落で、シンディ・ローパーの”Time After Time”、スティービー・ワンダーの”Isn't She Lovely”、ビートルズの”Blackbird”など、ロック・ポップスの有名曲が並ぶ。
一方で原点ともいえるジャンゴ・ラインハルトの曲やオリジナルも。
リリースされた1999年時点で、日本でどれくらい話題になったのか記憶にないが、この記事を書いている2023年時点で検索してもあまり情報はヒットしないので、さほど注目されなかったのかもしれない。
サブスクで聞けるので、ぜひチェックしていただければと思う。
1 Time After Time
2 Douce Ambiance
3 Estate
4 Made In France
5 La Ballade Irlandaise
6 Isn't She Lovely
7 Road Song
8 Zurezat
9 Stompin' At The Savoy
10 Les Amoureux Des Bancs Publics
11 Blackbird
12 Syracuse
13 Looking Up