ウィルコのメンバーでもあるネルスがカルテットで挑んだ意欲作
コンセントリック・カルテット / ネルス・クライン
'Consentrik Quartet' finds him in a loose, playful and often swinging mode.
「ルーズで遊び心に溢れ、しばしばスウィングするモードが見られる」と訳せばいいのだろうか。
このコメントとともに、ダウンビート誌で★★★★1/2
ウィルコのメンバーとしても長年活躍しているネルス・クラインの新作は、ブルーノートからのカルテット作品である。
リリース元のコメントに納得感があるのでコピペさせていただく
本作は、サックス奏者のイングリッド・ラウブロック、ベーシストのクリス・ライトキャップ、そしてドラマーのトム・レイニーからなる新しいバンドをフィーチャーしたデビュー作となる。作曲と即興をシームレスに融合させ、スウィングとアヴァンギャルドのバランスを巧みにとっているサウンドは演奏家としても作曲家としても多才なクラインの真骨頂とも言えるもので、「これまでの作品よりもジャズ・グループに近い」と自らが振り返る意欲作となっている。
「スウィングとアヴァンギャルドのバランスを巧みに」は、なるほどその通りで、曲によってはけっこう破天荒な印象もある。
とはいえ、そんな曲でもトーンコントロールはすごく安定していて、決してノイジーだったりヒステリック過ぎたりはしないので、比較的耳に馴染みやすい。
トリッキーな展開の曲も多く、例えば「Surplus」では、ギターとサックスとでシームレスなメロの交換をしていたかと思えば、スリリングな変拍子へと移行する。
ネルスのギターはソロはもちろん、コードワークが非常に巧みで、アンサンブルの練度が高いこともあって、聞きどころは満載、というか情報量が多すぎて、リピートして聴かないと全体像がつかめないほど。
サックスのイングリッド・ラブロック、ドイツ出身だそうで今回はじめて聴いたが、不可思議なコードチェンジの波の上でコクのあるフレーズを朗々と紡いでいて、相当すごい。
大友良英さんがMCを務めるNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」で本作を紹介。
大友さんとネルスは古い仲で、20年以上前に同じバンドのメンバーだったそうで、そのとき彼はぽそっと「なんか自分はちょっと出遅れちゃっんだよなあ」と語ったらしい。
大友さんは続けて
「それは同世代のビル・フリゼールやマーク・リボーと比べてということかと今思うけれど、最近のネルスのアルバムは素晴らしいし、今がいちばんスゴイんじゃないか」と語っている。
ちなみにネルスの奥さんは、元チボ・マットのメンバーで、現在はアメリカで活躍中のミュージシャン本田ゆかである。
01. The Returning Angel
02. The 23
03. Surplus
04. Slipping Into Something
05. Allende
06. House Of Steam
07. Inner Wall
08. Satomi
09. The Bag
10. Down Close
11. Question Marks (The Spot)
12. Time Of No Sirens
Acoustic Bass, Effects – Chris Lightcap
Drums – Tom Rainey
Electric Guitar, Acoustic Guitar, Effects – Nels Cline
Producer – Nels Cline
Tenor Saxophone, Soprano Saxophone – Ingrid Laubrock
