フュージョンギターのベテランが70年代に放った初のリーダーアルバム
トロペイ / ジョン・トロペイ
1975年リリースだから、本格的なクロスオーバー/フュージョンブームの前で、その黎明期とも言える時期の作品。
当時のジョン・トロペイはニューヨークでは屈指のセッションギタリストで、ポール・サイモン、ディオンヌ・ワーウィック、ロバータ・フラック、ヴァン・モリソン、バーブラ・ストライサンドら数多の著名ミュージシャンのレコーディングに参加。
一方で、クロスオーバー/フュージョンの分野でも活躍し、デオダートの名作「ツァラトゥストラはかく語りき」(1972)でのプレイがつとに有名だ。
そうしたキャリアゆえの人脈の豊かさだろうか、この彼のファーストソロアルバムは、参加メンバーがやたらと多彩で、ギターにデヴィッド・スピノザ、サックスにデヴィッド・サンボーン、マイケルブレッカー、ボブ・ミンツァー、ペットにランディ・ブレッカー、キーボードにドン・グロルニック、ベースにウィル・リーなどなど。
なかでも強力なのがスティーヴ・ガッドとリック・マロッタのツイン・ドラムで、左がマロッタで右がガッドと位置が明確なので、両者のプレイの差がくっきりとわかる。
ガッドもこのとき30歳そこそこだから、はつらつとして勢いがありつつも、彼らしい渋さもすでに感じられる。
8曲のうち5曲がトロペイ作で、あとはスピノザ、グロルニック、ミンツァーが1曲ずつ。
アレンジはトロペイが6曲で、グロルニック、デオダードが1曲ずつ。
コンポーザー、アレンジャーとしての腕の確かさを見せつけてくれる。
肝心のギターも、メロディの歌心ある流麗さや、ソロの縦横無尽ぶりはもちろん、バックにまわったときの手堅さは、さすがに名うてのセッションギタリストという印象。
特にファンク系の曲での切れ味が良い。
ぶっちゃけ日本で人気の高いラリー・カールトンやリー・リトナーほどの華やかさはないし、ニューヨークのギタリストとしては、エリック・ゲイルやコーネル・デュプリーほどの存在感でもないけれど、クロスオーバー/フュージョンギター好きならせひチェックしておきたい作品だ。
Tambourine
7th Heaven
The Jingle
Just Blue
Muff
Cisco Disco
The Bratt
Dreams
Alto Saxophone – George Young
Baritone Saxophone – Ronnie Cuber
Bass – Neil Jason (tracks: 8), Will Lee
Clavinet – Chris Palmaro
Drums [L] – Steve Gadd
Drums [R] – Rick Marotta
Electric Piano – Don Grolnick
Guitar – David Spinozza (tracks: 6), John Tropea
Percussion – Jimmy Maelen
Piano – Richard Tee (tracks: 3)
Synthesizer – Tommy Mitchell
Tenor Saxophone – Lew Delgatto, Lou Marini
Trombone – David Taylor, Sam Burtis
Trumpet – Alan Rubin, Jon Faddis, Lew Soloff, Randy Brecker
Tuba – Tony Price
Vocals – Diva Gray (tracks: 3), Gordon Grody (tracks: 3), Lani Groves (tracks: 3), Will Lee (tracks: 3)
Producer – Charles Conrad, John Tropea, Will Lee
