ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Charlie & Paul / Steve Cardenas (2018)

“二人の巨匠”への熱のこもったトリビュート作品

Charlie and Paul

Charlie and Paul

  • Newvelle Records
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チャーリー&ポール / スティーヴ・カーデナス

スティーヴ・カーデナスのリーダー作は、トリオ、もしくはトリオ+ワンホーンというのが、お決まりのパターンになっていて、前作の『Melody in a Dream』ではトランペットだったが、本作ではアルトが加わっている。

このタイトルは何かというと、チャーリー・ヘイデンとポール・モチアンを指していて、この二人の曲がずらりと並ぶ。

カーデナスはもちろん他のメンバーも、チャーリー・ヘイデン、ポール・モチアンとの共演経験があるそうだ。

言うまでもなく、二人ともすでに他界しているので、トリビュートの意味合いも強いのだろう。

ただ、この二人、曲の傾向は結構違う。

ヘイデンはメロディのはっきりした曲を好む傾向にあり、モチアンはややアバンギャルドな傾向がある。(もちろん全ての曲がそうではないが)

カーデナスは、エレキとアコギを持ち替えながら、巧みなトーンコントロールで、曲ごとに彩り豊かな演奏を聞かせる。饒舌だが決してクドくならず品がよいのが、この人の持ち味だ。

そして、ヘイデン、モチアンへのトリビュートだからして、当然ドラムとベースの出番は多い。

両人にしてみれば「おいおい、ガチで比べるのは勘弁してくれよ」と苦笑するだろうが、なかなかどうして巨匠たちのひとクセある奏法を引用しつつ、イマドキ感のある明度の高い演奏を聞かせている。

付け足しのようで何だが、アルトもいい塩梅に彩りと熱気を加えている。テーマがギターだけだったら、いささか起伏の薄いアルバムになっていただろう。

まったくもってスティーヴ・カーデナスの作品には、ハズレがない。

なお、この作品はリリース時点ではアナログレコードのみで9曲収録だったが、デジタル化されてからは11曲に増えている。

 


1 Kalypso
2 Tangram
3 Asia
4 La Pasionaria
5 In The Moment
6 Prairie Avenue Cowboy
7 Riff Raff
8 Pocket Full Of Cherry
9 For Turiya
10 For The Love Of Sarah
11 There In A Dream

Steve Cardenas – Guitar
Loren Stillman – Alto Saxophone
Thomas Morgan – Bass
Matt Wilson – Drums