ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Art of The Invisible / Adam Rogers (2002)

これぞコンテンポラリーなジャズギターというべき初リーダー作

アート・オブ・ザ・インヴィジブル / アダム・ロジャース

アダム・ロジャーズが初のリーダー作『Art of The Invisible』を発表したのは2002年。

1965年生まれだから、30代半ばでのリリースなわけで、年齢的には決して早くはない。

同年生まれのウォルフガング・ムースピールが90年代に次々とリーダー作を出していたことを思えば、ずいぶん時間がかかった印象はある。

もちろん、それまでにもマイケル・ブレッカーやノラ・ジョーンズらとの仕事を通じて、その実力は認められていた。

アダム自身そうしたサイドマンとしてのキャリアを肯定的に捉えていたのだろうけど、この『Art of The Invisible』の完成度を目の当たりにすると、やはり、もっと早くこれを聞きたかったと感じざるを得ない。

名門Criss Crossからのリリースで、メンバーは同世代の辣腕揃いということからして、やはり満を持してということなのだろう。

かねてアダムはジム・ホールへの深い敬意を語っているが、軽やかで端正な音色は、なるほどジム・ホールさながら。

逆アングルピッキングが得意な人で、この奏法ならではのキレの音を出す。

展開にひとクセある超高速フレーズや意表を突いたアクセントの入れ方は、やはりジム・ホールの時代のそれとは違っていて、これぞコンテンポラリーなジャズギターという印象だ。

メンバーそれぞれにツボを抑えた演奏で、特にドラムのクラレンス・ペンが叩き出すポリリズムは、アダムのソロを絶妙な加減で煽っている。

スタンダード「Long Ago And Far Away」を除いては、全曲ロジャースによるオリジナル。

作曲の才能も、初リーダー作で見事に示した格好だ。

 

 

1 Long Ago And Far Away
2 Absalom
3 Bobo
4 The Aleph
5 The Invisible
6 Cathedral
7 Book Of Sand
8 In Broad Daylight
9 The Unvanquished

Guitar – Adam Rogers
Drums – Clarence Penn
Bass – Scott Colley
Piano – Edward Simon