ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Studio Trieste / Jim Hall (1982)

チェット・ベイカー、ヒューバート・ロウズの好演も光る佳作

スタジオ・トリエステ / ジム・ホール 

このアルバム、そもそもは、チェット・ベイカー、ジム・ホール、ヒューバート・ロウズの共同名義なのだが、ジム・ホールのリーダー作として扱われることが多く、日本で再発されたCDの帯にも、どーんとジム・ホールの名前だけが書いてあったりする。

1975年の『アランフェス』の大ヒットを受けて、今回は「白鳥の湖」に挑戦!と、レーベルとしてもメディアとしても言いたいのは、よくわかる。

ただ、クラシック由来の曲は「白鳥の湖」だけで「ALL BLUES」はマイルス・デイヴィス、「MALAGUENA」はキューバの作曲家エルネスト・レクオーナ、「DJANGO」はジョン・ルイスの作品だ。

演奏は、全体に品があって洗練されていて、いかにもCITらしいセンスにあふれている。

主役の3人に加え、ドラムにスティーブ・ガッド、ベースにジョージ・ムラーツ、ピアノにケニー・バロンらの腕利きを揃え、アンサンブルの安定感も抜群だ。

プロデュースはいうまでもなくクリード・テイラー、エンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダー、アレンジはドン・セベスキーという、盤石の布陣。

80年代のジム・ホールは、主にコンコードからリリースしているのでCTIからの本作は例外的ではあるのだが、実にジム・ホールらしいアルバムに仕上がっている。

しかし、これらCTIの作品、いつかサブスクで聞けるようになるのだろうか....

 

 

 

1. SWAN LAKE(白鳥の湖)
2. ALL BLUES(オール・ブルース)
3. MALAGUENA(マラゲーニャ)
4. DJANGO(ジャンゴ)

 

JIM HALL (guitar)
HUBERT LAWS (flute)
CHET BAKER (trumpet, flugelhorn)
JACK WILKINS (guitar solo 2)
KENNY BARRON (keyboards solo 1, 4)
JORGE DALTO (keyboards solo 2, 3)
GARY KING (electric bass 2, 3)
GEORGE MRAZ (acoustic bass 1, 4)
STEVE GADD (drums)
SAMMY FIGUEROA (percussion)
and others