ファースト・ショット / ピエール・マネッティ
父と兄もギタリストというフランスの新鋭の注目作
フランスのジャズギタリスト、ピエール・マネッティの初のリーダーアルバム。
日本では、ほぼ無名だが、フランスのジャズギターファンには知られた存在らしく、というのも、父のロマーヌは、ジャンゴ・ラインハルトの精神を受け継ぐマヌーシュ・スウィング・ギタリストであり、兄のリシャールも、同じくジプシー・スウィング・ジャズギタリストとして活躍しているからだ。
2013年には、この3人で録音した『Romane, Pierre & Richard Manetti - Guitar Family Connection』というアルバムをリリースしている。
ピエールももちろん、父、兄と同様のテクニックを有しているのだが、本作ではマヌーシュの色は薄い。
軽快なグルーヴのフュージョンといった趣である。
なので、深いメッセージ性や音楽性は希薄ではあるのだが、技術力は高いし、アイデアは豊富だし、全曲オリジナルとのことで作曲能力もあるようで、才能の豊かさは伝わる。
カルテット編成で、オルガンのChristophe Craveroという人を初めて知ったのだが、この人の演奏が相当いい。
グルーヴィーで疾走感があり、ソロの技も多彩で、ピエールとの掛け合いも見事。
ときにギターを食っている感もあって、私には双頭アルバムのように聞こえた。
ただしかし、リズムがつまらない。
単調で工夫がない。
ドラマーとベーシストのクレジットはあるのだが、曲によっては完全にマシンのようで、それが妙味になっていればともかく、効果を発揮しているとは思えない。
ギターとオルガンが、なかなかいい演奏しているだけに、残念だった。
Pierre Manetti (Guitar)
Christophe Cravero(orgue)
Laurent Locuratolo(drums)
Henri Dorina(bass guitar)
1.First Shot
2.Groove 125
3.Olivia
4.Opening
5.Sculpture
6.Fugitive Song
7.Le Petit Caillou
8.Jacomo
9.Ambiguites
10.Red Naomi