ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

First Shot / Pierre Manetti (2022)

ファースト・ショット / ピエール・マネッティ

First Shot

First Shot

  • JMS Productions
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父と兄もギタリストというフランスの新鋭の注目作

フランスのジャズギタリスト、ピエール・マネッティの初のリーダーアルバム。

日本では、ほぼ無名だが、フランスのジャズギターファンには知られた存在らしく、というのも、父のロマーヌは、ジャンゴ・ラインハルトの精神を受け継ぐマヌーシュ・スウィング・ギタリストであり、兄のリシャールも、同じくジプシー・スウィング・ジャズギタリストとして活躍しているからだ。

2013年には、この3人で録音した『Romane, Pierre & Richard Manetti - Guitar Family Connection』というアルバムをリリースしている。

ピエールももちろん、父、兄と同様のテクニックを有しているのだが、本作ではマヌーシュの色は薄い。

軽快なグルーヴのフュージョンといった趣である。

なので、深いメッセージ性や音楽性は希薄ではあるのだが、技術力は高いし、アイデアは豊富だし、全曲オリジナルとのことで作曲能力もあるようで、才能の豊かさは伝わる。

カルテット編成で、オルガンのChristophe Craveroという人を初めて知ったのだが、この人の演奏が相当いい。

グルーヴィーで疾走感があり、ソロの技も多彩で、ピエールとの掛け合いも見事。

ときにギターを食っている感もあって、私には双頭アルバムのように聞こえた。

ただしかし、リズムがつまらない。

単調で工夫がない。

ドラマーとベーシストのクレジットはあるのだが、曲によっては完全にマシンのようで、それが妙味になっていればともかく、効果を発揮しているとは思えない。

ギターとオルガンが、なかなかいい演奏しているだけに、残念だった。

 


Pierre Manetti (Guitar)
Christophe Cravero(orgue)
Laurent Locuratolo(drums)
Henri Dorina(bass guitar)

1.First Shot
2.Groove 125
3.Olivia
4.Opening
5.Sculpture
6.Fugitive Song
7.Le Petit Caillou
8.Jacomo
9.Ambiguites
10.Red Naomi