アコギ&ヴィブラフォンをメインに、多国籍な音世界を展開。コルトレーンのカヴァーも。
サウンド・リメインズ / レズ・アバシ・アコースティック・クインテット
レズ・アバシはパキスタン出身で、幼少期にアメリカ西海岸に移住。
マンハッタン音楽学校卒業後、1990年代半ばからプロとしての活動を本格的にスタートした。
日本での知名度は高くはないが、自身のルーツである南アジアの音楽とジャズを融合させた独自のスタイルで、ジャズジャーナリズムや玄人筋からの評価は高い。
本アルバムは自身のアコースティックグループを率いてのもので、このスタイルの作品としては3枚目らしい。
曲想は幅広く、フラメンコぽかったり、アジアンテイストだったり、瞑想的だったり。
レズ・アバシのアコギは、がっつり芯のある音で、切れ味がよく、ときにパーカッシブでディメオラのよう。
このグループで特徴的なのはヴィブラフォンで、アコギとのユニゾンもハーモニーもソロも、それぞれに美しい。
アコギとヴィブラフォンの絡みって、ありそうでいて、あまり聴いた記憶がなく、耳に新鮮だ。
8曲中6曲がオリジナルで、それぞれ出来はいいが、カヴァーの選曲もユニーク。
「Lonnie's Lament」はコルトレーンの曲でオリジナルは『Crescent』に収録。
「Questar」はキース・ジャレットの曲でオリジナルは『My Song』に収録。
『My Song』は聞きまくったアルバムだが、実は1周目ではカヴァーに気づかなかった。あまりカヴァーされる曲でもないし。
でも、この曲の繊細な浮遊感は、アバシ・クインテットのキャラクターに良く合っていて、目の付け所がいいセレクトだ。
全体として、演奏も録音も細やかで丁寧に作られた佳作だと思う。
1. Presence
2. You Are
3. Questar
4. Folk's Song
5. Spin Dream
6. Lonnie's Lament
7. Meet the Moment
8. Purity
Rez Abbasi – acoustic guitars, composer, producer
Bill Ware – vibraphone
Stephan Crump – acoustic bass
Eric McPherson – drums
Hasan Bakr – percussion
