これぞメセニー、壮大でドラマティックな音の叙事詩
フロム・ディス・プレイス / パット・メセニー
アルバムジャケットが、いささか不穏なので、どんな内容かと思ったら、いかにもメセニーらしい壮大な音の叙事詩だ。
盟友ドラマー、アントニオ・サンチェスらとのカルテットを中心に、ヴォーカルのミシェル・ンデゲオチェロらをゲストに迎え、ハリウッド・スタジオ交響楽団も参加している。
ギタリストとしての技量もさることながら、これらのメンバーの技を活かし、まとめあげ、深い物語性のある音世界を作り上げる、その力量はやはりメセニーならではのもの。
細かな音の配置も絶妙で、例えば「The Past in Us」でふわりと登場するハーモニカの音色には、しんみりと泣かされる。
それらもカルテットの安定感があってこそ。
サンチェスのドラムの緩急は見事だし、リンダ・オーのベースはやや地味だが手堅い。
惜しくも2020年に他界したライル・メイズのセンスをい受け継ぐかのような、シムコックのキーボードの美メロにも酔わされる。
60代後半になったメセニーだが、まだ当分の間は、創意あふれる作品を送り出してくれそうだ。
Pat Metheny (G, Key)
Gwilym Simcock (P)
Linda May Han Oh (B, Voice)
Antonio Sanchez (Ds)
with
Meshell Ndegeocello (Vo)
Gregoire Maret (Harmonica)
Luis Conte (Per)
The Hollywood Studio Symphony
1. America Undefined 13:22
2. Wide and Far 8:27
3. You Are 6:13
4. Same River 6:43
5. Pathmaker 8:20
6. The Past in Us 6:24
7. Everything Explained 6:52
8. From This Place 4:40
9. Sixty-Six 9:39
10. Love May Take a While 5:57
