初リーダー作にして、すでに独自の世界観、奏法を確立
イン・ライン / ビル・フリゼール
ECMからリリースされた、フリゼールにとって初のリーダー作。
それまでポール・モチアンやケニー・ホイーラーらの作品で、サイドマンとして名を上げていたが、この作品で彼はソロアーティストとしてのキャリアを本格的にスタートさせた。
演奏は、静謐で深淵。内省的なアプローチが特徴で、いかにもECMぽい。
全9曲、すべてオリジナルで、約半数の曲にベースのArild Andersenが参加しているが、あまり目立ってはおらず、フリゼールのソロパフォーマンスの印象が強い。
彼のトレードマークであるフィードバックやディレイの技法や、多重録音を駆使したサウンドスケープ的な手法が随所に見られ、フリゼールの世界観、奏法はすでにここで確立している感がある。
メロディ重視でバンドサウンド志向が強いパットメセニーや、アバンギャルド路線のテリエ・リピダルら、当時のECMの看板ギタリストらとは明らかに一線を画していた。
現在のように機材や奏法の情報がネットで流通する時代ではなかったから、プロや好事家から「これ、どうやって弾いてるんだ?」という疑問の声が多々聴かれたららしい。
彼がECMと契約していたのはわずか数年で、キャリアにおいてNonesuchでの活動期間のほうがはるかに長いのだが、私なんぞはいまだにECM時代の印象が強い。
すでに30歳を過ぎていたから、初のリーダー作のリリースとしては決して早くはないし、そもそもパット・メセニーよりも年上なのだが、その登場はやはり鮮烈だったのだ。
1 Start
2 Throughout
3 Two Arms
4 Shorts
5 Smile On You
6 The Beach
7 In Line
8 Three
9 Godson Song
Bill Frisell:Electric Guitar, Acoustic Guitar
Arild Andersen:Bass
Recorded:August 1982, Talent Studio, Oslo
Original Release Date:01.04.1983
