ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Nine Stories Wide / Jonathan Kreisberg (2003)

「Summertime」から「Michelle」までギタートリオでの快演

ナイン・ストーリーズ・ワイド / ジョナサン・クライスバーグ

2002年の初リーダー作『Trioing』からわずか約1年でリリースした第2作がこちら。

前作と同じくギタートリオだが、メンバーは一新していて、ベースにラリー・グレナディア、ドラムにビル・スチュワート。

ギターファンなら誰でも「パット・メセニー・トリオやないかーい」とツッコミたくなるところだ。

メセニーの代表作のひとつ『TRIO 99→00』が、同じメンツだからである。

そのぶん安心感があるのは確かで、腕利きの二人に支えられたクライスバーグは、実に伸び伸びと歌心あふれるプレイを展開している。

9曲のうち3曲がオリジナルで、その他の選曲が幅広くてユニーク。

ガーシュウィンの「Summertime」のようなアメリカーナもあれば、チャーリー・パーカーの「Relaxing At Camarillo」はバップだし、はてまたビートルズの「Michelle」までやっている。

どれも料理の仕方がうまいし、クライスバーグが繰り出してくるフレーズも、実にセンスがいい。

もともとプログレバンドをやっていたせいか、速弾きでのピッキングはかなり力強いが、スロウな曲でのレガートもエレガントで美しい。

メセニーを思わせるところはあるものの、それはメセニーに続く世代のギタリストにとって避けられないものだし、単なるメセニー・フォロワーではないことは、この作品でも明らかだ。

 

 

Jonathan Kreisberg (G)
Larry Grenadier (B)
Bill Stewart (D)

1. Summertime (George Gershwin)  7:17
2. Just In Time (Jule Styne / Betty Comden / Adolph Green)  5:32
3. Dana (Jonathan Kreisberg)  6:43
4. My Ideal (Richard Whiting / Neville Chase / Leo Robin)  7:57
5. JuJu (Wayne Shorter)  5:49
6. That Reminds Me (Jonathan Kreisberg / Peter Mazza)  7:29
7. Fever Vision (Jonathan Kreisberg)  4:37
8. Michelle (John Lennon / Paul McCartney)  4:30
9. Relaxing At Camarillo (Charlie Parker)  5:22