「Summertime」から「Michelle」までギタートリオでの快演
ナイン・ストーリーズ・ワイド / ジョナサン・クライスバーグ
2002年の初リーダー作『Trioing』からわずか約1年でリリースした第2作がこちら。
前作と同じくギタートリオだが、メンバーは一新していて、ベースにラリー・グレナディア、ドラムにビル・スチュワート。
ギターファンなら誰でも「パット・メセニー・トリオやないかーい」とツッコミたくなるところだ。
メセニーの代表作のひとつ『TRIO 99→00』が、同じメンツだからである。
そのぶん安心感があるのは確かで、腕利きの二人に支えられたクライスバーグは、実に伸び伸びと歌心あふれるプレイを展開している。
9曲のうち3曲がオリジナルで、その他の選曲が幅広くてユニーク。
ガーシュウィンの「Summertime」のようなアメリカーナもあれば、チャーリー・パーカーの「Relaxing At Camarillo」はバップだし、はてまたビートルズの「Michelle」までやっている。
どれも料理の仕方がうまいし、クライスバーグが繰り出してくるフレーズも、実にセンスがいい。
もともとプログレバンドをやっていたせいか、速弾きでのピッキングはかなり力強いが、スロウな曲でのレガートもエレガントで美しい。
メセニーを思わせるところはあるものの、それはメセニーに続く世代のギタリストにとって避けられないものだし、単なるメセニー・フォロワーではないことは、この作品でも明らかだ。
Jonathan Kreisberg (G)
Larry Grenadier (B)
Bill Stewart (D)
1. Summertime (George Gershwin) 7:17
2. Just In Time (Jule Styne / Betty Comden / Adolph Green) 5:32
3. Dana (Jonathan Kreisberg) 6:43
4. My Ideal (Richard Whiting / Neville Chase / Leo Robin) 7:57
5. JuJu (Wayne Shorter) 5:49
6. That Reminds Me (Jonathan Kreisberg / Peter Mazza) 7:29
7. Fever Vision (Jonathan Kreisberg) 4:37
8. Michelle (John Lennon / Paul McCartney) 4:30
9. Relaxing At Camarillo (Charlie Parker) 5:22