マッコイ・タイナー&エルヴィン・ジョーンズと組んだグラント・グリーンの代表作のひとつ
マタドール / グラント・グリーン
このアルバムは1964年5月20日に録音されたが長らくリリースされず、1979年にブルーノート・レーベルの未発表シリーズの一枚として登場した。
何らかの事情でのお蔵入りはジャズの世界では珍しいことではないけれど、本作はよくぞ世に出たものだという名演である。
マッコイ・タイナー&エルヴィン・ジョーンズというジョン・コルトレーン・カルテットのレギュラーメンバーであった二人を迎えてのカルテット編成。
ベースはボブ・クランショウ。
エンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダー。
それまでのグラント・グリーンのブルージーなスタイルとは一味違って、コルトレーンを思わせるモーダルなアプローチが特徴だ。
もちろん参加メンバーゆえのことだろう。
1曲目、グラント・グリーンのオリジナル「Matador」は哀愁のあるメロディが美しい佳曲。
次にコルトレーンの代表曲「My Favorite Things」を採り上げていて、エルヴィンとマッコイの演奏はコルトレーンのヴァージョンとほとんど同じ。
この曲はこう弾くという強いこだわりなのか、半ばシャレでやってるのかよくわからないが、マッコイ・タイナーはソロまでほとんど一緒である。
とはいえ主役はグラント・グリーン。
彼のシングルノート主体による演奏は、原曲をじっくりなぞりながらも、朴訥に語りかけるような響きが印象的な名演である。
LPではA面のこの2曲がどちらも10分以上あって、じゅうぶん聴きごたえがあるが、続く2曲の出来も良い。
CD化に際してバカラックの「Wives And Lovers」が加えられた。
Matador
My Favorite Things
Green Jeans
Bedouin
Wives And Lovers (CD化に際し追加)
Drums – Elvin Jones
Piano – McCoy Tyner
Guitar – Grant Green
Bass – Bob Cranshaw
