変則的なトリオで、多彩な技とアイデアを堪能させる秀作。
ラヴ・イズ / ジョン・ハート
ジョン・ハートの特徴はストレート・アヘッドな演奏スタイルにあり、本作ではその持ち味は変わらないものの、コルネットとベースという変則的なトリオに挑んでいる。
ドラムやコード楽器がいないため、サウンドの迫力や膨らみには欠けるが、そのぶん各人の細やかな技、緊密なインタープレイが鮮明に聞き取れる。
例えばバップの定番であるバド・パウエルの「Hallucination」の出だしは、コルネットとギターのややトリッキーなユニゾンが耳を引き、ギターソロに入るとベースとの密度のあるデュエットになり、それぞれに妙味がある。
選曲も、ビリー・ストレイホーンの「A Flower is a Lovesome Thing」、ビル・エヴァンスの「Blue in Green」、トニー・ウィリアムズの「Pee Wee」など、なかなか面白い。
「Lazy Thirds」はジョンのオリジナルとなっているが、元ネタは明らかにコルトレーンの「Lazy Bird」だろう。
全体にやや地味ではあるものの、変則トリオゆえの妙味が随所に堪能でき、ギターアルバムとしては本年屈指の作品だと思う。
1. HALLUCINATION (BUD POWELL) 6:53
2. INFAMY (JOHN HART) 6:41
3. A FLOWER IS A LOVESOME THING (BILLY STRAYHORN) 8:51
4. LOVE IS (JOHN HART) 8:11
5. BLUE IN GREEN (BILL EVANS) 6:25
6. PEE WEE (TONY WILLIAMS) 4:09
7. LAZY THIRDS (JOHN HART) 5:01
8. NEVER LET ME GO (JAY LIVINGSTON, RAY EVANS) 6:53
9. BE MY LOVE (NICOLAS BRODZSKY) 6:58
10. I THOUGHT ABOUT YOU (JIMMY VAN HEUSEN) 9:04
John Hart: guitar
Kirk Knuffke: cornet
Carlo DeRosa: bass
