ジャズギターの歴史に輝き続ける、傑作ライヴ作品。
ライヴ! / ジム・ホール
ジャズギターのレジェンド中のレジェンド、現代ジャズギターの父とも称されるジム・ホールの1975年のライヴ。
場所はカナダ・トロントの「Bourbon Street jazz club」、トリオでの演奏である。
オリジナルアルバムをさておいて、彼の最高傑作に挙げられることも多く、数あるジャズのライヴ作品の中でも傑作のひとつに数えられる。
同じ年に先行して『アランフェス協奏曲』が出たと思ったら、その数ヶ月後には「これぞジャズ!」と言わんばかりの本作。
私もリアルタイムでは当時を知らないが、戸惑ったファンも多かったかもしれない。
しかし『アランフェス協奏曲』が、特に日本ではとてつもなくヒットしたため、あのイメージが強いが、もともとは王道のジャズの人。
『アランフェス協奏曲』がむしろ例外なのである。
ジャケ写の風貌は、大ベテランのおじいちゃんみたいだが、彼は1930年生まれなのでこのとき45歳である。
決して枯れる年齢ではなく、実際、油が乗り切った印象だ。
ハーモニーは豊かで馥郁としていて、ソロは知的で饒舌で縦横無尽。
全体として軽やかでありながら、随所に渋みもあって聞きどころは満載だ。
ドン・トンプソン(b)、テリー・クラーク(ds)とのインタープレイも素晴らしく、最小編成のコンボながらその緊張感、躍動感は、傑作の称号にふさわしい。
1970年代半ばのジャズシーンは、電子楽器が台頭してきた時代でもあるのだが、ここでのジムらはアコースティックでのコンボの魅力を突き詰めたと言ってもいいだろう。
翌76年には、 中野サンプラザで収録した『Jim Hall In Tokyo』(別記事あり)をリリース。
こちらも同じメンバーで内容も素晴らしく、本作よりもやや陽気で跳ねている印象もある。
ぜひチェックをと言いたいところだが、サブスクにはないのがちょっと残念。
本作に惚れ込んだ人は、ぜひ来日公演のライヴもフィジカルで、とおすすめしたい。
Acoustic Bass – Don Thompson
Drums – Terry Clarke
Guitar – Jim Hall
1 Angel Eyes
2 'Round Midnight
3 Scrapple from the Apple
4 The Way You Look Tonight
5 I Hear a Rhapsody
